ーーマクラーレン・グループの基盤がしっかりしていてこそ、F1チームの成功にも結びつく。
「マクラーレン・オートモティブの財務モデルはグループ内の他の会社とは異なるので、株式保有の構造も異なるけれど、オートモティブの株式の80%を所有しているのは全員グループの株主だ。だから、オートモティブの大株主は、チームでも大きな権限を持つ。しかし、オートモティブとチームの企業文化はまったく違う。このビジネスの特徴上、異なる必要がある」
ーーF1チームのビジネス形態が変化してきたということですか?
「そう、F1ビジネスのモデル自体があらゆる意味で大きく変化している。チーム経営に必要な技術が以前より難しくなっている。スキルが多様化しているからね。5年前、10年前には数学者も科学者もいなかったし、今ある規律の多くが存在しなかった。ビジネスが複雑になり、構造も変化した。財務モデルが変わった」
ーー過去2年のマクラーレンは、タイトル・スポンサーなしでレースを戦いました。それはF1ビジネスの変化を体現していると言えますか?
「F1参戦によって得る収入は、テレビ放映権やレース主催者からのものがかなりの割合を占めている。しかし、現在はスポンサーシップのモデルは劇的に変化していて、クルマのカラーリングもニュートラルなものになる可能性がある。なぜなら、カラーリングをコントロールできるほどの資金を出せる人や企業がいなくなったからだ。だから、我々は必要予算を分割して支払ってもらえるシステムを作る必要がある。それをベースに予算を組み立てる。幸運なことに、我々はエクソン・モービル、SAP、GSKのような巨大企業、ケンウッドやアケボノのような日本企業に支援してもらっている。今年はカルソニックもラインアップに加わる予定だし、ホンダも我々のパートナーだ。このように財務形態は変化している」