──メルセデス方式のスプリット・ターボを採用かと言われていますが。
C氏:それにも答えは出ていない。マクラーレンは、アブダビテストで「エンジンカウルは今季型から変えていない」と言っていたから。ということは、メルセデス仕様のMP4-29のカウルに合わせなきゃいけないわけだから、ホンダが突貫工事でメルセデス方式にしたとも考えられる。MP4-29のカウルに合わせるために、そういうレイアウトをとらなきゃいけなかったという理由でね。そもそもホンダは、どうしてもアブダビでテストしたいと考えていたわけではなく、マクラーレン側の要請で走らせただけだから。
A氏:ホンダは、ずっと「やらない」と言っていたのに。
C氏:マクラーレンはメルセデスのパワーユニットで走ることもできたから、そこは最後まで悩んでいた。ホンダで走ると決めたのはマクラーレンなんだよ。
B氏:ホンダはアブダビテストの前に「ノイズの干渉などに対するノウハウはある。なぜ他のメーカーが苦労しているのかわからない」と豪語していたけど……。実際シルバーストンのフィルミング・デイ(チームのPR目的で走行できる特別枠)では問題なく走行していたから、アブダビでは何が問題だったのかな?
C氏:スプリット・ターボの件に話を戻すけど、もしメルセデスと同じ方式を選んでいるとしたら、ホンダに勝ち目はないかもしれない。もうメルセデスは、その先に行っているから。メルセデスが常識を覆したように、違う何かを持ってこない限り勝てない。
B氏:気がかりなのは、ホンダを代表する人間がいないこと。ミスター・アライがホンダの顔になっているけど、現場で実際にマクラーレンと働いたり、他のパワーユニットメーカーやFIAと話し合ったりするキーパーソンが見えてこない。パドックでは誰もが知っている鈴鹿の開催交渉を手がけている日本人がいて、彼がホンダの仕事も請け負っているようだけど、やはりホンダ専任の現場レベルのリーダーが必要だよ。