スタート直後、先頭を行くメルセデスAMGのルイス・ハミルトンと同ペースで走行していたボッタス。このまま終盤まで、激しい優勝争いが続くと思われました。しかし、9周目をピークにボッタスのペースが落ちだし、当初1分43秒台での走行だったものが、23周目には1分45秒台まで下落してしまいます。一方のハミルトンは、1分43秒台のペースを持続。結果、当初は2秒程度だったふたりの差は、ボッタスがピットインする前の周には15秒台まで広がっていました。この時点で、ウイリアムズの勝機は潰えてしまいます。この状況を見て、ウイリアムズの白幡メカニックは、「勝てるかもと思ったけど、やっぱりメルセデスは強いねぇ」と、実に残念そうに語っていました。
ソフトタイヤは、マシンの特性によってタレの速度が大きく異なる、それがこの2台のペース推移に大きく現れています。ボッタス曰く「リヤが突然ダメになった」そうです。つまり、ウイリアムズのクルマは、メルセデスAMGに比べて、タイヤに厳しいクルマだと言うことができるかも知れません。
一方今回持ち込まれたタイヤのうち硬い方、ミディアムタイヤについては、ソフトタイヤとは逆に“いかにタイヤを使い切るか”ということが重要だったようです。驚いたのはニコ・ロズベルグが1周目にピットに入ってミディアムタイヤに換えた後、チェッカーまでの52周をそのまま走り切ってしまったこと。ロズベルグも「デグラデーションが出てくるだろうと思ったが、すぐに落ち着いた」と語っているとおり、驚くほど長持ちしてしまいました。なんとロズベルグは、このタイヤの51周目にファステストタイムを記録しています。
フリー走行では、さすがにそこまで長い連続走行はできません。せいぜい20周程度ではないでしょうか。そのため、ミディアムタイヤの本来の寿命を、正確に確認できていた人は、いなかったはずです。52周走ったロズベルグ陣営も、もう一度タイヤ交換をすることを覚悟して走らせていたはずですが、想像以上に長持ちしたためにそのままフィニッシュを迎え、しかもボッタスから2位の座を奪うことにも繋がりました。