しかしここからマルチェロの猛烈な追い上げが始まり、両者はテール・トゥ・ノーズで激しいバトルを繰り広げる。そしてトラクション性能に優るマルチェロが残り2周となった23周目のターン8でインに飛び込んでパスし、首位奪還。そのままバンドーンを引き離して自身初となるGP2での勝利を飾った。3位にはチェコットが入り、タイトル争いをリードするパーマーは6位に入るのがやっとだった。
日本勢は後方グリッドから苦戦を強いられた。
スタート直後は21位にいた佐藤公哉は、赤旗中断の混乱の中で17位に浮上。しかしその後はクワイフェ・ホッブスやランカスター、デ・ヨンらに抑えられて本来のペースで走れず、浮上のきっかけを掴めないまま17位に終わった。
最後尾スタートの伊沢拓也は雨が来るのは遅いという天気予報に従ってスリックタイヤでスタートするギャンブルを選んだが、「雨の量が酷くて前は全く見えないし、フォーメーションラップにもセーフティカーにもついていくのが難しいくらい」という状況で1周目にピットイン。予選はスタベローでスピンしてノータイムに終わったが、「本来なら予選トップ10は行けたはずだし、このペースなら決勝も入賞はできるはず」と、マシンの仕上がりには手応えを持っていたが、レース再開後は安定した走りを続け、13周目に再びタイヤ交換をこなして佐藤公哉の後ろに付く。
だが14位から5台が連なる集団の中で膠着状態に陥り、最後に佐藤公哉を抜いて16位でフィニッシュするのが精一杯だった。
「ウエットコンディションではブレーキの効きが良くなくて、ストレートエンドで仕掛けるのが難しい状況でした。でもセクター2では速かったので、プーオンで狙って抜きました。ウエットでもペース自体はそんなに悪くなかったと思うんですが、ドライとは違って戦略で前に出るのは難しいし、これ以上はどうすることもできませんでしたね」
日曜のレース2ではドライコンディションが予想されており、中段グリッドから日本勢の巻き返しにも期待したい。
(米家峰起)