■中本修平
シニア・テクニカル・ディレクター
「ヘレステストでは、今回のレースに向けたマシンセットアップ、そして新たな空力パッケージの評価を行いました。3日間のテストでいい感触が得られたことをうれしく思います。ハンガロリンクは高速と低速、両方のコーナーで構成され、メカニカルグリップの優劣が重要です。ヘレスは連日非常に暑く、エンジンを限界まで試すいい機会となり、信頼性を十分に確認できました。今年のハンガロリンクは、例年以上に暑いと聞いています。気温と路面温度が非常に高い、厳しい戦いになると予
想されますが、ヘレスで予行演習も十分行え、ポイント獲得に期待しています」
■ジェンソン・バトン
「ハンガロリンクはリズムに乗って走れるし、低速、高速コーナーの配分もいいが、1年前までは、ここは僕にとって大好きなサーキットとはいい難かった。しかし、昨年以降、みんなも知っての通り、考えはすっかり変わった。初優勝の地は、永遠に特別な場所となるだろう。今年はかなり違ったレースになりそうだが、これからも着実な進歩を続けて、もう一歩レベルアップできたらいい。それでは、70周のレースを、全長4.381kmのコースでどう攻めるかを説明しよう。
ここは曲がりくねったレイアウトだけに、ダウンフォースレベルは最大に近い。だから最終コーナーを立ち上がって全開で加速していくときには、かなりの空気抵抗を感じることになる。1コーナー進入時の速度は、時速290km。5速から2速までギアを落として、180度ターンをクリアする。そしてごく短い直線のあと、左回りの2コーナーを2速で抜ける。そこからさらに高速の右コーナーへと下っていき、このコースで最も標高の低い地点になる。そこからの直線を一気に駆け上がり、5速でのターン4に飛び込む。ここは多くのドライバーが、リズムを崩してしまうところだ。あまりに速いコーナーのため、ちょっとしたミスでグラベルに直行する。
そこからターン5までのごく短い全開加速区間は、このコースの数少ない抜きどころのひとつだ。このコーナーは、3速で走り抜ける。そして再び、短い区間で全開に。その先に待ちかまえている右左と続くシケインには、文字通り縁石にマシンを投げ出すイメージで飛び込んでいく。そこからはコースの右側をキープして、次の左コーナーに備える。このターン8は、3速だ。
すぐに3速の右コーナー。そして比較的高速の左、右のコーナーを抜ける。最後の右コーナーはふくらみすぎないようにしないと、人工芝に飛び出してしまう。短い直線のあとは、2速で抜ける右コーナーだ。そして再び、左の180度ターンを2速で。ピット入口を右手に見ながら坂道を駆け上がると、最後の右180度ターンが待っている。ここを3速で抜けると、メインストレートに戻って来る。