40年間にわたってF1に参戦してきたマクラーレンだが、チームに分配される資金が将来もっと配慮されるようにならないのなら、F1撤退もありうるとロン・デニスが警告した。
デニスはまた、マクラーレンがF1参戦の継続を考えるためには、各チームが平等な土俵で勝負できるという証拠を見たい、とも述べた。それがなければ、他のカテゴリーへの転向を真剣に検討するという。マクラーレンが、モータースポーツそのものをやめてしまうことはないとは認めつつも、デニスは、F1だけを考えるわけではないと警告した。F1以外のカテゴリーで、コース上でもコース外でも成功できると思えば、ためらうことなくF1を撤退するという。
マクラーレンのウォーキングにある新施設で行われたシーズン前のブリーフィングで、デニスはジャーナリストたちに次のように語った。「わが社が、2008年にグランプリ・レーシングに参加しないことも選択できる立場にいられればいいと思う。会社の経済状態を維持できるなら、平等な土俵が用意されないかぎり、グランプリ・レーシングには参加しないつもりだ。2007年までは(コンコルド協定の)契約に従うが、私たちの共通の目標は、会社を選択権のある立場に置くことだ」
デニスは、他の8チームの代表らと共に、マニュファクチャラー連合GPWCの代表らと会合を持ち、F1のライバルシリーズに関するGPWCの提案について話し合った。この脅しは、その話し合いの数日後に発言されたものだ。GPWCは、マクラーレンのエンジンパートナーであるダイムラークライスラーと、BMW、ルノーが中心となっているが、彼らは、シリーズから得られる全収入の80%までもチームに分配するつもりであることを明らかにした。これは、バーニー・エクレストンが新コンコルド協定に各チームを署名させるために提示した、50%という改善案をはるかに上回っている。
これまでのところ、エクレストンのビジョンに加担しているのはフェラーリのみであり、かなりの契約金に動かされたと見られているが、デニスは、F1に亀裂をもたらしている問題に関してフェラーリを非難しようとはしていない。
「フェラーリは素晴らしいグランプリチームであり、グランプリ・レーシングが将来どのようなものになろうとも、そこにフェラーリが参加しないならば、まったく惜しいことだ」と、デニスはフェラーリがF1であまりにも大きな権力を有しているとの考えに反対した。「だがフェラーリは、変更をコントロールしたり、他チームに比較して不相応に多い収入を得たりできるような立場におかれるべきではない」
このスポーツの分裂が明らかになりつつあるが、デニスとCEOのマーティン・ウィットマーシュは、統一は可能だと考えている。ただしそれには、9つの“未署名”チームが共同歩調をとって、エクレストンとフェラーリとGPWCを交渉の席に着かせる必要があるだろう。
「透明性が重要だと思うし、公平性が重要だと思う」と、デニスはコメントした。