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【F1チーム代表の現場事情:メルセデス】怒りと謝罪。ハミルトンを指標に難局を乗り越えようとするウォルフの胸の内
2022年5月5日
大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回はメルセデス代表トト・ウォルフのエミリア・ロマーニャGPの週末を追った。
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トト・ウォルフはこれまで何度も大きな試練を乗り越えてきた。だが今直面しているのはキャリア最大の難局かもしれない。
彼のF1マネジメントキャリアを振り返ってみよう。まず当時苦戦を強いられ後退する一方だったウイリアムズに加入、同チームは2012年にパストール・マルドナドにより驚きの勝利を収めた。そしてウォルフがメルセデスに移った1年後、メルセデスはF1を席巻し始めた。
メルセデスにもいくつか困難な瞬間はあった。2016年にはタイトルをめぐり、ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグの間の緊張感がピークに達し、スペインでは1周目に接触してリタイア。これによってマックス・フェルスタッペンがF1初優勝を手に入れた。
だがウォルフのチームは、マシンが問題を抱えていることが分かった場合、それにうまく反応することに慣れていた。たとえばプレシーズンテストでうまくいかなくても、シーズンが始まると、それがネガティブな影響を及ぼすことなく、勝利をつかんでいくのだ。近年のメルセデスは毎年急速に改善を成し遂げていき、コンストラクターズ選手権を制してきた。だが今年はかなり様相が異なっている。
ウォルフは現状を把握し、期待値を下げようとしてきた。だがイモラではチーム内の緊張を外部に見せてしまった。
金曜日、メルセデスのマシンには新パーツが多少導入されていたが、競争力の向上は見られなかった。スプリントフォーマットの週末だったため、1回のプラクティスのみで予選に臨まなければならず、ルイス・ハミルトンはやっとのことでQ1を通過したものの、ジョージ・ラッセルとともに、Q2で敗退という結果に終わった。
Q2直後、メルセデスのガレージ内で、ウォルフとハミルトンの間に緊迫したやり取りが繰り広げられた。ハミルトンはヘルメットをかぶったままだったが、それでも感情が高まっている様子が伝わってきた。ウォルフは明らかに不満を抱えているようで、ハミルトンへの態度は非常に厳しいものだった。
しかし後にウォルフは、ふたりの間に意見のぶつかり合いがあったわけではなく、怒りを共有していただけであると主張した。
「あのことについてはいろいろと解釈されていたね。見ていてかなりおかしかった」とウォルフ。
「ルイスと私はフラストレーションを共有していた。1ラップのパフォーマンスをうまく引き出せなかったことについてのフラストレーションだ。非常に苛立たしかった。ふたりは同じ思いであり、激しい怒りを感じていたのだ。分裂はない。相手を非難するとか、そういったことも一切ない」
「システムのなかにプレッシャーがある。物事を正すために必要なプレッシャーだと思う。チーム内に今の瞬間を少しでも楽しんでいる者はひとりもいない。だが我々チームは過去に同じ経験をしてきた。この穴から何とかして抜け出すだけだ」
“穴”はイモラの週末が経過するなかでどんどん深くなっていった。スプリントでも進歩は見られず、どちらのドライバーもポイント圏内に入れなかった。ウォルフは、メルセデスはイモラではもっと高い競争力を発揮できると予想していたと明かし、「我々が期待していた位置とは違う。今週末は完全なる失敗だ」と述べた。
だが実際には、完全なる失敗ではなかった。日曜決勝でラッセルが素晴らしい走りを見せて4位を獲得し、ポイントを稼いだからだ。しかしウォルフの気持ちはハミルトンの方を向いていた。決勝直後、ふたりは予選後とは正反対の形で言葉を交わした。
ウォルフは今度は怒りを露にするのでなく、ハミルトンが動揺し、困難な状況に陥ることを防ぐため、すぐさま謝罪したのだ。
「今日はこのようなマシンに乗せて申し訳ない」とウォルフは無線でハミルトンに声をかけた。
「運転不可能なマシンであることは分かっている。このマシンでは良い結果を出すことはできなかった。ここから前に進もう。それにしてもひどいレースだった」
チームメイトが4位でフィニッシュしている時に13位どまりだったドライバーに、チームボスが謝罪するというのは、少し奇妙な光景だ。だが、この行動から、ウォルフがハミルトンを指標としてどれだけ頼りにしているかが分かる。ハミルトンが不満を持っていると、チーム内の雰囲気が悪くなる。ハミルトンが良いパフォーマンスを発揮できない場合、彼がこれまで築き上げてきた記録から判断して、ドライバー以外に問題があることは明らかなのだ。
ラッセルはイモラでマシンの力以上の結果を出した。ウォルフは、それは今シーズンここまでの数少ないポジティブな出来事のひとつだと認めている。だが、マシンが改善しない限り、それを再現し続けていくことは不可能だ。ウォルフは、ドライバーたちをできるかぎり良い精神状態に置き、モチベーションを高く維持させるために時間を割いている。一方で、他のチームメンバーたちには、できるだけ早くマシンを改善するよう促している。今のウォルフは、メルセデスが勝ち続けていたころにはほとんど直面したことがない難局に立ち向かっているといえるだろう。
(Chris Medland)
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1位 | マックス・フェルスタッペン | 237 |
2位 | ランド・ノリス | 156 |
3位 | シャルル・ルクレール | 150 |
4位 | カルロス・サインツ | 135 |
5位 | セルジオ・ペレス | 118 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 112 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 111 |
8位 | ルイス・ハミルトン | 85 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 41 |
10位 | 角田裕毅 | 19 |
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1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 355 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 291 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 268 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 196 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 58 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 30 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 19 |
8位 | BWTアルピーヌF1チーム | 9 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 2 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
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