ライアン・ブリスコーは、ヘレス合同テストの初日に、思いがけなくF1マシンのコクピットに舞い戻ることになった。トヨタが、ラルフ・シューマッハーと共に新車TF106をドライブするようにと、彼を呼び戻したのだ。
夏にシカゴランド・スピードウェイでのIRL戦で大クラッシュを喫し、いまだ完璧な状態ではないブリスコーだが、テスト前日に体調を崩したオリビエ・パニスの代役に選ばれることになった。ブリスコーは、ホームステッドでグランダム・シリーズのサントラスト・レーシングと共にテストを行う予定となっていたが、今回のヘレステストでは、急速な回復ぶりをアピールするかのように、体調に異常を訴えることなく80周近くを走りきった。トヨタV8エンジンのトラブルさえなければ、もっと走行距離を伸ばしていたはずだ。
「1日だけF3マシンで走ったのを除けば、今回はIRLでの事故以来、初めてレースカーに復帰したことになる。自分がドライブすることになると知らされたのは、たった2日前のことだったから、ぼく自身にとっても、ちょっと驚きだったよ」とブリスコー。
「今日はまったく肉体的な問題もなく、約80周を走行できたから、本当に嬉しい。またF1マシンのステアリングを握れるのは、とても楽しかった。他のこととは較べものにならない楽しさだよ」
「トヨタのテストチームの人たちはみんな知っているし、一緒に働いていて気持ちのいい人ばかりだから、走っていても本当に快適だった。チームに貢献できて嬉しいし、新車の感触を味わえたのもよかった。タイヤの内圧や温度についての作業をしたときも、すぐに調子を取り戻すことができた。一日の終わりにエンジントラブルがあったので、プログラムをすべて終了することはできなかったけど、ほとんどはやり終えたし、仕事の初日には満足しているよ」
テクニカルディレクターのマイク・ガスコインによれば、ブリスコーのエンジンは「すでにかなりの走行距離を重ねたもの」であり、このトラブルは心配ないものだという。
同僚のシューマッハーは、午前中には充実した作業ができたが、午後に背中に不快感を訴えてテストを切り上げた。木曜には、ヤルノ・トゥルーリがヘレス入りして、ブリスコーと共にテストを行っている。