ミナルディのポール・ストッダート代表は、マックス・モズレーの2005年の新レギュレーションを、痛烈に批判した。構想が誤っており、この新しい方策が導入されても、3月のメルボルンの開幕戦ではマシンのスピードは落ちないだろう、という。
今季は多数のルール変更が予定されている。タイヤ数が制限されること、エンジンを週末1回分でなく2回分もたせなくてはならないこと、ダウンフォース削減のために空力が変更されることなどだ。しかしストッダートの意見によれば、これらの変更は効果がないばかりか、大きな危険にもつながりかねないという。
「週末を通じて7セットか10セットのタイヤを選ぶ代わりに、2セットか3セットのうちからひとつを選んで、予選と決勝のすべてを走り切らなくちゃならないなんて、いったい全体、それでどうしてレースの安全性が増すはずがあるんだ?」と、ストッダートは問いかけた。
「ピットストップはこの頃、退屈になりかねないレースをかなり盛り上げているのに、その見所を観客から奪うのみならず、それが安全の名の下に導入されようとしている。非常にコンペティティブで素晴らしいタイヤ会社、ミシュランとブリヂストンが限界ギリギリで競い合っているのにだ。これで私たちは、レースで使えるはずだった何セットかのタイヤを使えないことになってこう言うのだ。さあ、みんな、まだ互いに競争しあっているんだぞ、とね。だから、間違いなくレースディスタンスに耐えうるような単一のコンパウンドやハードタイヤが導入される可能性はないんだ」
「それでも、非常にコンペティティブであってほしいとは思うが、タイヤセットのほどんどが使えなくなるわけだから、長距離に耐えるタイヤにした方がいい。もし重大事故が起こった場合、このレギュレーションを導入した人物が完全に責任を問われることにならなければいいがと、私は切に祈っているよ」
空力の変更についても、ストッダートは同じように批判的だった。
「4つのビッグチームが、2005年のメルボルンを2004年の終わりとまったく同じダウンフォースレベルでスタートするだろうと言っている。では、このレギュレーションで不利を被るのはいったい誰だ? 弱小チームだよ! 少しでも安全性が増すか? まったくクソ食らえだ! 私が保証するが、メルボルンのポールポジションは、天候さえ許せば去年とまったく同じようになるだろうよ」と、ストッダートは予測した。
「この一連のレギュレーションは、通常の技術的な取り決めを無視して短い周知期間で導入されたため、それに追いつこうとする者たちに何千万ドルもの出費を強いただけだった。実際に、追いつけるだけの資金がある者たちはただそうするが、資金がない者たちは苦労することになる。というわけで、その結果少しも安全性が増すことはないんだ」
「彼の言う――マックス・モズレーの言う目標は、3秒スピードを落とすということだった。3秒落ちることはないと思うね。ミナルディはそうなるかもしれないが、よそのチームはどこもそうならないだろう。だからこそ私は、新レギュレーションをこれほど批判しているんだよ。導入は間違っていたし、導入の手続きにも不備があった。メルボルンに行っても私はそれを遵守するつもりはない。どうなるか、そのときになれば分かるよ」