最近ルノーでF1を初体験したばかりのロバート・クビカが、BMWザウバーF1チームと契約を結び、2006年にテスト兼リザーブドライバーを務めることになった。
ポーランド出身のクビカは、F3でしばしば輝きを見せていた。ユーロシリーズ参戦初年度は、交通事故のためにスタートが遅れたが、カムバックレースで優勝した。そして、マカオでは2004年と2005年の2度、2位に入っている。しかし、22歳の彼が本当に才能を発揮して見せたのは、今年のワールドシリーズbyルノーのタイトルを獲得する過程でのことだった。その成功により、報償としてルノーでのテストドライブが実現したが、ヘイキ・コバライネンの起用がすでに決まっていたため、ルノーチームにはクビカの入る余地はなかった。
クビカは、F1にステップアップするためにはスポンサーを見つけねばならないというお決まりの問題に直面することになった。ウワサされていたミナルディでのテストも、同じ理由から延期されたようだった。クビカは、2006年はGP2に行くのではないかと見られていたのだが、BMWが声をかけた。このシートの候補としては、これまでダン・ウェルドンやアントニオ・ピッツォニアの名が挙げられてきた。
「私たちはロバートの進歩を見守ってきたが、近年の彼のパフォーマンスには非常に感銘を受けている」とBMWモータースポーツ・ディレクターのマリオ・タイセンは語った。「彼は大きなスポンサーのサポートもなしに、成功を収めるために非常に頑張ってきた。私たちは、彼にはF1に飛び込むだけの潜在能力と意志があると確信している」
「彼にその機会を提供できることを嬉しく思う。彼は第3ドライバーとして経験を積みながら、同時に、チームのマシン開発を手助けしてくれるだろう」
クビカは、チームのテスト部隊の先頭に立つだけでなく、来季のグランプリの週末ごとに、2度のフリー走行セッションで3台目のマシンをドライブすることになる。契約は現在のところ1シーズンのみとなっているが、再来年以降の延長も可能だ。
「最高のチャンスが訪れた。僕は、自分が実力でそれをつかんだということを証明するつもりだよ」とクビカは語った。「僕のような若いドライバーにとって、サードカールールは天の助けだね。かつては、テスト兼リザーブドライバーは、テストコースに送り出されるだけだったけれど、僕は19のグランプリ・サーキットをすべて知ることができるし、グランプリの週末の一部始終を知ることができるんだから」
クビカは6歳でレースを始め、10歳にはポーランドのカートチャンピオンとなった。3年後には、さらにチャレンジングな競争を求めてイタリアに移り、1998年には、非イタリア人として初めてイタリア国内のジュニア・カート・チャンピオンを獲得、ヨーロッパ選手権でもシリーズ2位となった。その後シングルシーターにステップアップし、2001年から2002年にかけてフォーミュラ・ルノーで走り、2年目のシーズンをイタリア選手権の2位で終えた。これによって翌年はF3に上がることになった。
今季はまたステップアップして、ワールドシリーズbyルノーで、バスク・チームのエプシロン・エウスカディに加わったが、17戦中4勝を挙げ、40点近く差をつけてやすやすとタイトルを獲得した。
「ここ数年ずっと、僕を助けてくれた人たちすべてに感謝したい」とクビカは付け加えた。「あの人たちがいなければ、今F1に関わることなど考えられなかっただろう」