先日、“資金不足のため”ミッドランドF1のシートを獲得する望みを絶たれたと発言したナレイン・カーティケヤンだが、これに対し、同チームのマネージングディレクター、コリン・コレスは、彼が来季残留できないとすれば、その原因のひとつは、彼をバックアップしているマネージメントチームにあると反論した。
ミッドランドがクリスチャン・アルバースと2006年の契約を発表したことで、残留を希望するカーティケヤンと僚友ティアゴ・モンテイロに残されたシートはひとつだけになってしまった。だが、モンテイロはシート確保に必要な資金を準備できているとの報道があり、モンテイロが本命と見る向きが多い。
先日、カーティケヤン自身もモンテイロの方がシート獲得の可能性が高いと述べているが、さらにコレスが、インドのタイムズ紙に対して、カーティケヤンがチームで2年目を送ることはないだろうと語った。
「ナレインは、マネージメントのせいで敗退してしまった」とコレス。
「プロのドライバーにはプロフェッショナルなマネージメントがついているものだが、ナレインの場合、そうは感じられなかった」
「ナレインは非常に感じがよく、いいヤツではあるけれど、それだけではF1で通用しない。プロフェッショナルであることも必要なんだ。彼が速いドライバーなのは確かだが、優れた人材で周りを固めなければならない。あらゆる問題を片付けるのがマネージメントの仕事なのに、彼の場合はそうではなかった。彼が何も考えなくて良い時は、ドライビングもうまくいっていたんだよ」
「(ナレインが残留できないのは)金銭面の問題だけではない。我々は彼に対し、非常に的確なオファーをした。もちろん、インド国内からのサポートも必要だがね。残念なことに、私もなぜか分からないが、彼は十分な資金を集めることができずにいる。でも、金銭が本当の問題ではないんだ。F1で成功するには、それ以上のものが必要なのだ」
コレスは、2005年シーズン、F1初のインド人ドライバーを走らせることで財政上の利益があると予想していたものの、実際にはそうはいかなかったと認めた。
「我々への利益はゼロだった」とコレスは述べ、次のように続けた。
「ナレインとインド国内にとっては、紛れもなく有益であったと判明した。しかし、ジョーダンは何も得られなかった。インドという国は、いまだにF1に可能性を見出していないようだ。ポルトガルやオランダといった小国の方が、彼らのドライバーをサポートするのに前向きだ」
カーティケヤンはチームが要求したという持参金の額について明らかにしているが、コレスはこれは“事実ではない”と語っている。しかし、カーティケヤン本人によれば、自分がシートを失ってしまった主な原因は、必要な資金が用意できなかったからだという。
「まず初めに言っておくけど、自分の言ったことは撤回しない」とカーティケヤン。
「僕らが要求された金額は、1千万から1千2百万ユーロ(およそ13億から16億円)の間だ。それ以下の金額だったならば、また去年と同じくらいの金額だったなら、喜んで応じていたよ。彼らが望むような金額は、僕には集められない」
「もし彼が僕らの働きぶりを気に入らないというのなら、僕らだって彼のやり方は好きじゃない。彼が僕のマネージメントをどう思おうが、気にしないよ。モナコでの彼らのオファーは、絶対高すぎた」
カーティケヤンは現在、来シーズンに向け、テストドライバーかサードドライバーのポジションを探している。