バーニー・エクレストンは、月曜に出た判決で、F1株の75%を保有する3金融機関の主張が認められたのに対し、F1のライバルシリーズができるのを防ぐため、参戦10チームにかなりの金額を提示した。
この2つの件ははっきりと結びついているわけではないが、エクレストンはロンドンの高等裁判所で喫した敗北を受けて、対抗措置をとることを選んだ。この判決で彼は、SLECの役員会で多数派を握っていることが不当であると申し渡された。そして、エクレストンが取った手段は、各F1チームの会合に出席し、F1に参戦中の4つの大自動車メーカーが設立をもくろむGPWCシリーズに、各チームが参加しないようにするためのオファーを行うことだった。
情報筋によるとエクレストンは、F1からの離脱が起きて、自分の持ち分も3金融機関の持ち分も無意味となるのを防ぐために、約3億英ポンドを提供する用意があると語ったという。エクレストンはレポーターに対して、高等裁判所の判決は事態にそれほど影響しないと語る一方で、F1の将来を確かなものとするために金融機関側と協力する準備があるとも示唆した。
金融機関側も、当初の観測に反して、エクレストンとの協力に前向きな姿勢を示したが、このスポーツの運営に関してより大きな発言力を求めた。そこに、現在のF1を作った人物を説得して、各チームへの分配金を増やすという意図が含まれているのかどうかは、まだわからない。この点が、GPWCとの論争の中で最大の争点となっているのだが。
「彼らはF1に留まりたくはないのだ――彼らは出て行きたがっている」と、エクレストンは、裁判での相手方について語った。「彼らは、選んで株を入手したわけではなく、(出資の)担保として手に入れた。彼らは、株価が上がるようにしているだけだ。何も変わることはない。私は、金融機関側とは何の問題もないし、今後も協力しあっていくよ」
参戦10チームのうち8チームが出席した月曜のロンドンでの会合で、エクレストンが金銭のオファーを行ったことにより、各チームの収入は理論上は倍増することになるかもしれない。ミナルディのポール・ストッダート代表は、弱小チームの救済のために資金投入を求めてきた中心人物だが、今回の動きにGPWC(ルノー、フェラーリ、メルセデス、BMWからなる)が太刀打ちするのは難しいだろうと述べた。
ストッダートは、英デイリー・テレグラフ紙に対して、こう語った。「ほかのチームが彼らと共にライバルシリーズに行くようにするためには、彼らは少なくとも(エクレストンの出す額に)匹敵する額を出さなくてはならないだろう。しかもそれは、競りの初値に過ぎないんだ。それが可能だとは思えないね」