ミナルディのボス、ポール・ストッダートは、フェラーリが提出したテスト制限とコスト削減のための案について、「私たちをバカにしている」と酷評した。
10月のブラジルGPの時点で、フェラーリを除くすべてのチームは、2005年シーズン中のテスト日数を従来の半分の24日間にするという自主的な計画にサインした。しかし、フェラーリはこの発案に名を連ねることを拒否し、チームボスのジャン・トッドはその計画が「すぐにゴミ箱行きになる紙切れにすぎない」と言い放った。
フェラーリの年間のテスト回数は他のどのチームよりも多い。マラネロには自社専用のテストコースも所有し、時には3カ所で同時にテストを行うことさえある。“ベテラン”テストドライバーのルカ・バドエルに加えて、先日マルク・ジェネとも契約を交わしたフェラーリは、ブラジルGPでのテスト削減案には最初からまったく乗り気ではなかった。
これに対してフェラーリが提出した対案は、シーズン中のテストを車の開発については各チーム1万5千kmまでとし、同じ週のうちに複数のコースで走ることを禁止するほか、2つのタイヤメーカーは開発テストをそれぞれ1万5千kmまでにするというものだった。
だが、このフェラーリ案を一蹴したのはストッダートだけではなかった。ルノーのフラビオ・ブリアトーレもロイター通信社に対して「フェラーリの提案はまったく受け入れがたいものだ」と述べている。
ミシュランは、BAR、ルノー、ウイリアムズ、マクラーレン、ザウバー、レッドブル、トヨタと、グリッドの過半数にタイヤを供給するのに対し、ブリヂストンの供給先は事実上フェラーリだけ(ジョーダンとミナルディはほとんどテストを行っていない)。このため、特にタイヤテストの制限をどのように適用するかが議論を呼ぶことになる。
「ミシュランユーザーは1チームあたり2142kmしか走れないのに、フェラーリは1万5千kmを1チームで走れることになる」とマクラーレンのロン・デニスは指摘する。「私にはあまり公平な扱いとは思えない」
これに対してフェラーリは、ミシュランはグリッドの大部分にタイヤを供給しているのだから、ブリヂストンよりはるかに多くのチームからデータを集めることができ、決して公平さを欠くアイデアではないと主張している。
では、このフェラーリの提案が拒否された場合にはどうなるのだろう? 「答えは簡単だ」とトッド。「すべてのチームがどこででも好きなようにテストができるようになる」
それならば、他の9チームがブラジルでの提案に同意した場合、フェラーリはそれに従わざるを得なくなるのだろうか? 今のところ、先行きは不透明なままだ。
いずれにせよ、F1全体の利益が優先されなければならないのは明らかであり、コスト削減のためにテストの制限が必要とされていることだけは間違いない。