ザウバー・ペトロナス・チームがフランスのタイヤメーカー、ミシュランに即時スイッチする契約を結び、パドックを驚かせた。
以前から噂はあったものの、2004年のブリヂストンはより大きな成功を果たしただけに、ザウバーのタイヤ変更は驚くべきことだった。ザウバーはこれまでの状態を維持するためにもエンジン供給元のフェラーリと引き続き緊密に提携しているのだが、そのフェラーリは今季ブリヂストンタイヤを履き計15勝を挙げており、ザウバーとしては、チャンピオンチームのタイヤ開発への発言権がどんどん大きくなっていくことに、段々と苛立ちを募らせていたともみられる。
「ミシュランとのこの契約にサインすることができてとても嬉しい。すばらしい提携になるものと楽しみにしている」とチーム監督のペーター・ザウバー。「同時に、しかし、ブリヂストンには過去6年間の良好なパートナーシップに対し感謝したい」
ミシュランタイヤを履くザウバーの初のテストは、11月24〜26日にバルセロナで予定されている。
「我々のテクノロジーが、ミシュランを履くF1マシンのパフォーマンスに重大な貢献を果たせることを、2004年は披露することができた」と、ミシュランのレース運営のトップ、ピエール・デュパスキエ。「この発展ぶりからザウバーが成果を享受できることを私も楽しみにしている」
ルノー・チームで今季終盤3レースを走り、来季はジャンカルロ・フィジケラに代わってザウバー入りするジャック・ビルヌーブは、このスイッチにより、引き続きミシュランを履くことになる。一方、2005年はビルヌーブのチームメイトとなるフェリペ・マッサは、今月行われるテストが初めてミシュランを体験する場となる。
ザウバーのタイヤ変更によりタイヤメーカー間の‘力関係’はミシュランの方に大きく──実際大きすぎるほどに──傾いたといえる。両社とも10チーム中4チームに供給しなければならず、少なくとも1チームがブリヂストンに移るものとみられている。現在もっとも信頼できる話としては、トヨタがブリヂストンにスイッチするという予測がなされているが、ジャガー、ジョーダン、またミナルディの将来はいまだ不透明であり、どんな移動劇が繰り広げられることになるか、今後の成り行きが注目される。