トップチームのテクニカル・ディレクターたちによれば、2005年から“ワンタイヤ・ルール”が導入されても、戦術に大きな変化は現れないだろう、ということだ。ピットストップは、再給油のみが目的となるが、1回ストップのレースはそれほど増えないだろう、という。重い燃料で走行してタイヤを傷めるのを避ける必要があるためだ。
フェラーリのロス・ブラウンは、ブラジルで次のように語った。「燃料の状況は劇的には変わらないと思う。レースの燃料を積んで予選を走る必要があるからだ。マシンに燃料を積みすぎれば、予選は困難になるだろう。レース序盤にフリーなスペースがあれば、それを利用できるというのは、私たちがしばしば目にしてきたとおりだ。燃料タンクが極端に大きくなるということは、特にないと思う。戦術も劇的には変化しないだろうと思うね。タイヤが理由で3回ストップになったはずのところが、2回ストップになるということはあるかもしれないが」
「そのレギュレーションが導入されたとしても、1回ストップがそんなに多くなったら驚きだが、状況によりけりだね。燃料をたくさん積んで走れば、タイヤによけいな負担をかけるだけだし、レースの間じゅうタイヤに気を遣わなくてはならないだろう」
ルノーのエンジニアリングの責任者、パット・シモンズもブラウンの意見に賛成している。「タイヤの劣化は確かに少なくなるだろうし、ストップ回数も減るだろうが、1回ストップのレースにはならないだろう。今年より1回ずつストップ回数が減るというのは、ちょっと単純化しすぎかもしれない。多くの場所で、実際にそうなるだろうがね。タイヤの変更は難しい問題だと思うが、今のところFIAがしているのは、主な概略を定めることだけで、詳細を整えるのは私たちに委ねられている。だが、FIAはむしろ、ルールの計画的な濫用を見つけだすのに長けていると思う。あるチームが、パンクやフラットスポットなどでひっきりなしにストップしていれば、かなり詳細なチェックを受けることになるだろう」
FIAは、パンクの場合をどうするかや、ドライバーがフラットスポットを作ったり、コース外走行で傷めたタイヤを交換する場合にどうするかなど、細かいことはまだ明らかにしていない。
「パンクに関しては確かに、詳細を決めなくてはならないと思う。このレギュレーションに関して、私たちはみな、運用の仕方を明確に理解したいからだ」と、ブラウンは述べた。「ひとつの提案としては、パンクの場合、タイヤは換えられるが、少なくとも新しいセットではなく、プラクティスですでに使用したタイヤを使用するという方法がある。だが、ルールが明らかになった今、FIAと話し合いの席に着き、詳細な部分の適用方法について、最良の道を議論する必要があると思う」