インテルラゴスのパドックで、来シーズンに向けてのラジカルなコスト削減案に、フェラーリ以外の全チームが賛同したというウワサが飛び交った。
ポール・ストッダートとエディー・ジョーダンは、予選の最中と終了後に各チームを回って、タイヤサプライヤーをひとつにしてテスト回数を削減し、予選方式を変更し、シーズンのレース数を増やすという趣旨の提案書にサインを求めた。関係筋によれば、ペーター・ザウバーはその提案のもつメリットに納得したものの、フェラーリはいまだ賛同しておらず、周囲からのプレッシャーにさらされているという。
これまでチーム間のミーティングが何度となく行われたものの同意が得られなかったが、その後突如としてさまざまな状況が起こった。この冬の間に1ないしは2つのチームがフォーミュラ・ワンから去っていくかもしれず、費用のかかる3台体制導入の話が出て、また、テストにより多くの費用がかかるようになったことによってますますコストの上昇はとどまる事を知らない。そういった状況の変化によってチーム間はついに譲歩に至ったように見える。
ストッダートとジョーダンによって推し進められている提案には、コントロールタイヤを利用すること、そしてテストの回数を制限するということが含まれている。タイヤサプライヤーがひとつということになれば、どのチームも同じタイヤを履く事になり、シーズン中の開発テストに割かれる時間と費用が削減されることになる。その提案では冬のオフシーズン中にテスト回数に制限は設けないものの、シーズン中のテスト日数に制限を設けるというものだ。
シーズン中の費用と時間が削減でき、その分カレンダーに新たなイベントを加えることができるこの提案に、ほとんどのチームは賛成の意を示した。現在はコンコルド協定によりシーズン中のレース数は17に制限されているが、この提案が受け入れられれば、新たに2つのラウンドを加えることができるようになり、2005年に向けてイギリスとフランスに開催の希望を与えることになる。
ザウバーはフェラーリとの関係から、説得に若干時間を要したものの、ほとんどのチームはその要求に同意の署名をした。フェラーリだけは今回その署名を行わなかったが、全10チームの内、9チームがこの提案に同意している状況で、フェラーリにも行動を共にするよう圧力がかかるだろう。というのも同意をしないということは、F1の将来、小さいチーム、そして伝統のイベントを保護しようという動きを妨げているかのように見えるからだ。