フェラーリは今シーズンを理想的な形でスタートした。開幕3戦すべてでミハエル・シューマッハーがポールtoウインを飾ったのである。
ウイリアムズ、マクラーレン、ルノーといったライバルチームは、フェラーリに食い下がるどころか自滅してしまい、満足なポイント獲得もできずに、フェラーリに余裕を与える形になってしまった。プレッシャーが消えたフェラーリを止めることはもうできない。フェラーリの幸運もイモラまでは続かないかもしれないが、ミハエルのライバルドライバーたちはすでに大きな差をつけられており、唯一食い下がっているのはジェンソン・バトンのみという状態だ。ミハエルは、シーズンの出だしでつまずいた時ですら、そこから巻き返してタイトルをつかんだ経験が何度もあるだけに、今シーズンのタイトル争いが熾烈なものになるなどという考えは捨てた方がいいかもしれない。アダム・クーパーが、バーレーンGP後、フェラーリのテクニカル・ディレクター、ロス・ブラウンに話を聞いた。
Q:早くもチャンピオンシップについて考え始めたのではないですか。
「それはまた違う次元の話だ。まだまだまだ先の話だよ。我々の長所のひとつは、現実的に物を考えるというところだ。今シーズンは今のところ完走率100パーセントで、最高の形でスタートが切れた。でも、まだあと15戦も控えているんだ。どう状況が変わってもおかしくはない。しかし、フェラーリの全員、全パートナー、そしてファクトリーのみんなの今までの仕事ぶりは素晴らしかったと言っておきたい。エンジンは最高、マシンも最高、タイヤも最高だ。シーズン序盤でこれほど満足した気分を味わえたことはない」
Q:ご自分のチームの速さには驚きましたか?
「驚いたね。これほどコンペティティブだったことにも、コンペティションが思ったほど激しくなかったことにも驚いた。それほど気温が上がらず、天候が味方してくれたということかもしれない。今日はタイヤも素晴らしかった」
Q:午前中天気が悪かったですが、どう思いましたか。天候が予想がつかないということで、心配だったのではないでしょうか。
「天気の予測がつかないと、思ったような結果を挙げられない場合もある。でも逆に、難コンディションではチャンスが生まれる可能性もあるんだ。今日は物事が私たちにとってパーフェクトな形で運んだ。コースは序盤少し濡れた状態だったが、その状態でタイヤがかなり高い性能を発揮した。それに、気温もあまり上がらなかった。これ以上はない好都合な天候だっただろうね」
Q:50度になっていたら、厳しかったということでしょうか。
「どうだろう。ファン−パブロ(モントーヤ)はミシュランのソフトを選択したのを知っていたが、興味深かったね。彼は序盤は調子がよかったが、終盤ペースが衰えてしまった。もっと気温が上がっていたら、もっと衰えが激しかったのかもしれない。何か大きなトラブルが出た可能性もあったのかもしれないけれど、さしあたって今日のコンディションがウチのパッケージにとってはパーフェクトだったのは確かだ」
Q:50度になっていたら、厳しかったということでしょうか。
「どうだろう。ファン−パブロ(モントーヤ)はミシュランのソフトを選択したのを知っていたが、興味深かったね。彼は序盤は調子がよかったが、終盤ペースが衰えてしまった。もっと気温が上がっていたら、もっと衰えが激しかったのかもしれない。何か大きなトラブルが出た可能性もあったのかもしれないけれど、さしあたって今日のコンディションがウチのパッケージにとってはパーフェクトだったのは確かだ」
Q:ストラテジーが読めやすくなってきていますね。フェラーリは比較的燃料を軽めにしてポールを取りに行き、後方とのギャップを築いて、かなり早い段階でピットストップをするという……。
「新ルールが起用されても1年かそこらすれば、作戦は読めるようになるだろうと前から私は言っていたんだ。結局そういうことになったようだね。それに対してどうするべきかは分からない。予選前に燃料を入れるわけだが、燃料積載量をできるだけ少なくしなければならない。ドライバーたちは素晴らしいスタートをしてくれたが、それこそが重要だった。スタートを失敗したら、辛い戦いになっていただろう」
Q:またライバル勢が自滅に終わるような形になったのは意外でしたか。
「驚いたね。もちろん、こういうのは大歓迎だけどね。それにしても、いつまでもそれを当てにすることはできない。まだ15戦残っているのだし、地に足つけて頑張らなければ」
Q:どういった進歩を持ってイモラに臨むのでしょう。
「2週間の貴重なテスト期間に、バルセロナとフィオラノでテストを行う。レースドライバーはふたりとも参加し、大いにやる気を見せている。タイヤについてもマシンについても改良を進め、イモラでそれを役立てることができるはずだ」
Q:他チームも同様に2週間のテスト期間があるわけで、あなた方としてものんびりはしていられないことでしょう。ライバルチームは追いついてくると思いますか。
「まだ全18レースのうち3レースを消化したばかりだ。油断している場合ではない。タイトル争いに決着がつくまでは、気を緩めることはできないよ」
Q:現時点ではミシュランよりブリヂストンの方が好調なのでしょうか。
「冬の間にブリヂストンが受けてきた批判については残念に思うよ。彼らは落ち着いて取り組んで、いくつかの問題解決に当たってきたんだからね。我々はタイヤのコンストラクション、コンパウンド、形状などあらゆるプログラムに取り組んだ。すぐにすべてをうまくまとめ上げることができたわけではないが、うまくいった時にはタイヤはかなり素晴らしいものとなった。彼らは冬の間ハードな作業を続けてきただけに、それが報われる形となり、私としてもうれしい。彼らは素晴らしい仕事をしてくれたんだからね」
Q:バーレーンについては全体的にどういう印象を持ちましたか。
「とても素晴らしいと思ったよ。いいレースを見ることができ、オーバーテイクのシーンも多かった。設備も最高だったし、観客は素晴らしい1日を過ごせたのではないかと思う。フェラーリが勝って、ここに詰め掛けてくれた大勢のサポーターたちに最高のレースをお見せすることができたと思う」