セバスチャン・ブルデーは、スクーデリア・トロロッソから、今週行われる2006年最後のF1合同テストに参加するチャンスが与えられ、久しぶりにF1マシンをドライブすることになった。
フランス出身のブルデーが、3年連続でチャンプカー・シリーズのチャンピオンに輝いたにもかかわらず、これまでF1入りのチャンスに恵まれずにいるのは不可解なこととして、これまでも幾度となく話題に上っている。それだけに、今回トロロッソからオファーがきたことは、注目に値するだろう。そのブルデーが、現在ゲルハルト・ベルガーとフランツ・トストによって運営されているトロロッソとともに、12月13日から15日にかけて行われるヘレステストに参加することが決まった。
トロロッソが発表した短いコメントには、彼が所属するニューマン・ハースからテスト参加の承認を得たと書かれている。ブルデーは、“ニューマン・ハースと共にチャンプカーの2007年タイトルを防衛したいと考えている”とコメントしているものの、ブルデーがついにF1で活躍するチャンスを掴んだと考える向きもあるだろう。
ベルガーは、チーム2年目のシーズンに向けてラインナップの変更はないとほのめかす発言をしているが、チームはまだ2007年のマシンにビタントニオ・リウッツィとスコット・スピードの2名を乗せるといった公式声明は出しておらず、来季のシートについては別の説もささやかれている。ベルガーは、2006年のシーズン終盤、経験の浅いドライバーたちが何度もミスを繰り返したことについて、決して楽観視するような発言は行わず、その結果、スピードはチームを追われるのではないか、といった噂が飛び交うようになった。
当初は、レッドブル・レーシングのリザーブドライバー、ロバート・ドーンボスがスピードの後釜になると噂されていたが、ベルガーはこれを否定している。しかしレッドブルはまだ、クリスチャン・クリエンの代わりにシーズン終盤に出走したドーンボスが、2007年にデイビッド・クルサードとマーク・ウエーバーを手助けするリザーブドライバーになるという発表を行っていない。そのためドーンボスがトロロッソへ移籍する可能性は残っているものの、突如としてブルデーのテスト参加が決定し、これがテストのオファーにとどまらず、物事が進展していく可能性もある。
ブルデーは、レッドブルのサポートを受けたことはないものの、それがトロロッソと契約できない理由にはならないだろう。ウエーバーも、過去にレッドブルとのつながりがなかったにもかかわらず、レッドブル・レーシングへの移籍を成し遂げているからだ。
ブルデーにとっては、これは初めてのF1テストではない。2002年にFIA F3000タイトルを獲得し、アロウズとルノーの2チームからテストの機会を与えられている。その翌年には、当時アロウズのチーム代表だったトム・ウォーキンショーから、レースシートのオファーも受けたものの、不運にも同チームの経済状況が望ましいものではなく、チャンスはブルデーの手をすり抜けていった。一方、ルノーに関しては、一説によると、ブルデーがフラビオ・ブリアトーレと仲たがいしたため、テストの機会は実を結ばず、その後、ブルデーはチャンプカーに活動の場を移した。