2006年、フェラーリには、ルーベンス・バリチェロに代わってフェリペ・マッサが加入、復活を目指すチームをサポートする。マッサの契約期間は1年で、2007年以降については保証されていない。F1で最も成功を収めたドライバーのチームメイトとして力を発揮していかなければならない彼のプレッシャーは、非常に大きいだろう。
チームのゼネラルマネージャー、ジャン・トッドもこれを認めている。「彼は大変だろうね」とトッド。「でも、彼は24歳と若いが、十分に経験を積んでいる。我々は2001年に彼と長期契約を結ぼうと決意したわけだが、それ以来彼のことを非常に高く評価してきた。ルーベンスが1年早くチームを離れるのを許可した際、その後釜候補としてはフェリペが最適であると考えた」
「今回の契約が彼にとってもいいものになればと思う。というのは、フェリペはF1でフェラーリ以外に行き場がないわけではなかったからだ。フェラーリ以外のチームに行った方が、より安定した将来を手に入れることができただろう。でも、我々はその機会を彼から取り上げてしまった。我々は自分たちが有するオプションを行使し、彼と1年契約を結んだからだ。そういうわけで、彼にはいいパッケージを提供したいと考えているし、彼が我がチームで最良の結果が出せることを願っている」
それでは、マッサはミハエル・シューマッハー、フェルナンド・アロンソ、キミ・ライコネンと同じレベルで戦えるのだろうか?
「それを予想するのは難しいね。ドライバーをランク付けするのは嫌いだが、現在トップに位置するドライバーは、その3人であることは間違いないだろう。フェリペはトップランクのマシンをドライブしたことはない。ライコネンがベストマシンに乗る前には、(彼がどの程度の力を持っているのか)判断するのは非常に難しかった。アロンソも同じことだ。だからフェリペについても今後を見ていかなければならない。トップチームでトップのマシンに乗った時に彼がどれくらいのパフォーマンスを見せるのかをね」
マッサの契約は、トッドとのコネがものを言って実現したのだと考える人間もいるだろう。トッドの息子、ニコラスが、マッサのマネージメントを担当しているからだ。しかしトッドはそういった事実は全くないと否定している。
「2001年に彼と契約したわけだが、その時には彼との間に特別なつながりはなかった。ミハエル同様、彼と仕事でかかわるようになって、彼のことが本当に好きになった。好青年で、謙虚で、気取りがなく、いつも対応の仕方がよく、性格がいい」
「私と知り合いだということは、大した問題ではない。我々はたくさんの契約を有していたのだし、彼はエンジニアと付き合ったり、マシンについて学んだり、チームについて学んだりしなければならず、私とよりも、エンジニアたちと一緒に長い時間を過ごさなければならないんだ。そして最終的には、ラップタイムが一番重要なわけだからね」