ヨーロッパGP決勝レースで、Lucky Strike B・A・R Hondaのジェンソン・バトンは10位、佐藤琢磨は12位完走を果たした。
決勝当日は、午後になって雨という天気予報もあったが、レース開始時刻の午後2時の時点で天候は晴れ。ただ上空には雲が出始めており、気温も24Cと、前日のような暑さはない。
フォーメーションラップを終え、スタートする直前にG・フィジケラ(ルノー)のマシンにトラブルが発生。そのため再びフォーメーションラップに入り、レースは59周で行われることになった。そして、スタートの直後に波乱が起きる。1コーナーで、先頭集団にいたM・ウェバー(ウィリアムズ)がJP・モントーヤ(マクラーレン)に追突。そのあおりを受け、後方集団の中にいた佐藤もフロントウィングを接触させ、破損してしまった。
一方バトンは、この混乱をうまく切り抜け、1周目に8番手にジャンプアップ。佐藤もバトンに続いて9番手にポジションを上げたが、フロントノーズの交換のため緊急ピットインを余儀なくされ、18番手まで後退してしまった。その後バトンは思ったようにペースを上げられず、R・バリチェロ(フェラーリ)、JP・モントーヤ(マクラーレン)らに先行され、11周目には11番手に後退してしまう。
バトンは23周目に1回目のピットイン。一時は5番手まで追い上げていたが、再び11番手に後退。そして佐藤は、27周目まで最初のスティントを引っ張ったおかげで、13番手までポジションを上げた状態を維持したまま、コースに復帰した。
バトンと佐藤の2台のマシンは、それぞれ2回目のピットストップを無事に済ませ、そのままの順位を維持したまま周回を重ねる。そしてレースファイナルラップの第1コーナーで、先頭を走っていたK・ライコネン(マクラーレン)がフルブレーキングの直後にマシントラブルでスピン。もの凄い勢いのままアウト側に飛び出して行った。そのすぐ前を走っていたバトンは、間一髪、ほんの僅かな差でクラッシュを逃れ、10位でチェッカーを受けた。佐藤も最後までレースを走り切り12位完走。B・A・R Honda勢は復帰レースで2台揃って完走を果たしたものの、惜しくもポイント獲得はならなかった。優勝は、F・アロンソ(ルノー)だった。
ジル・ド・フェラン B・A・R Hondaスポーティングディレクター
「我々がテストで発揮できていた速さをここで再現することができず、非常に残念だ。基本的なことだが、我々のマシンには、まだ速さが不十分だ。現時点では、速さを発揮できなかった原因は完全には見出せていないが、今週のモンツァとシルバーストーンのテストで明らかにし、北米での2連戦までに対策を打たねばならない。しかし、ここで2台揃って信頼性を発揮できたこと、Hondaのおかげで5週間のギャップがあったにも関わらずエンジンに何の問題もなかったこと、そしてカナダの予選をまずまずの出走順で走れることは、ポジティブなことだ」
中本修平 Honda Racing Developmentエンジニアリング・ディレクター
「エンジンの信頼性に問題はなく完走したものの、ポイントを獲得できるパフォーマンスを発揮させられず、非常に残念です。モンツァとシルバーストーンで今週もテストを行い、次のカナダとアメリカの連戦では良い結果を出せるよう、引き続き頑張ります」