佐藤琢磨が英国F3選手権を獲得したときのチームとして知られるカーリン・モータースポーツのボス、トレバー・カーリンが、先日発表されたミッドランドF1プロジェクトに中心メンバーとして加わることを明らかにした。しかし、彼が語ったところによると、このチームがデビューするのは2006年シーズンになるという。
クラッシュネットの独占インタビューにおいて、カーリンはミッドランド・プロジェクトの主謀者であるアレックス・シュナイダーからアプローチを受けたことを認めた。自らもF1進出の野望を抱きながら、マシンとエンジンの供給や資金面での障害に阻まれてきたカーリンにとって、これは渡りに船とも言うべきオファーだった。「私たちがF1参戦に興味を持っていたことは周知の事実だ。特にマックス・モズレーが新チームの加入を奨励するようになってからはね」とカーリン。「ただ、具体的な調査の結果、現実的に入手可能な“旧型車”はなく、供給面でも資金面でも自力でのF1参戦は不可能という結論に達していた」「私たちはほぼ参戦をあきらめかけていた。ところが、ちょうどそのとき、共通の友人を介してシュナイダー氏が私たちのチームに興味を示し、彼の計画に参加しないかというオファーをもらった。そして私たちは過去6カ月間にわたって計画を練ってきた。実現に向けて動き出したのは、彼のおかげだよ。彼がいなければこの計画は不可能だった」
ミッドランドF1プロジェクトは、先週末の日本GPで正式に発表された。その時点では実戦デビューの時期は明らかにされなかったものの、同チームは2005年3月のオーストラリアGPでマシンをグリッドに並べようとしていると考える人が多かった。しかしながら、カーリンはそうした観測を否定し、来シーズンの参戦を目標に置いたことは一度もないと述べた。「これは2006年の参戦を目指すプロジェクトだ。来年からマシンをグリッドに並べるのは物理的に不可能だし、それを狙ったことも一度もなかった」
その理由のひとつは、シャシーの製造を請け負うダラーラが新しいF1カーのデザインを完成させるのにある程度の時間を必要としたことにある。カーリンによれば、ダラーラは現在この車のために「全開で」仕事をしているが、来年メルボルンで車を走らせるためには事前にテストと開発プログラムが必要であり、時間的にどうしても間に合わないという。また、ミッドランドは既存のF1チーム(すなわちジャガーかジョーダン)を買い取ることを検討しなかったのかとの質問に対し、カーリンはプロジェクトの金銭的な面にはタッチしていないと前置きしながら、彼の知る限り、既存チームの買収交渉は行われていないと語った。
一方、このダラーラ製シャシーに搭載されるべきエンジンのサプライヤーはまだ発表されていない。ウワサによればコスワースまたはトヨタのユニットと言われるが、カーリンはすでにどちらかと交渉がまとまったとの見方を否定している。「エンジンのレギュレーションはひどい混乱状態に陥っている上に、コスワースもああいう状況にある。おそらくエンジンの契約をまとめるのが一番難しい仕事になるだろう。でも、とても優れたエンジンがいくつか存在するのは確かだし、2006年までにはモズレー氏がカスタマーエンジンを必要とするチームのために問題を解決してくれるかもしれないよ」