「基本的には、完璧な予選だったと思う。Q1の2回目のアタックは、もう一回やれと言われても難しいだろう」
これはQ1の最後のアタックで1分36秒353を叩き出し、16番手から14番手にポジションアップし、Q1を通過したフェルナンド・アロンソのコメントだ。
ホンダの長谷川祐介総責任者も「スーパーラップだった」と称賛した。一方、Q1で1分37秒070に終わったストフェル・バンドーンについては、「最後のアタックのアウトラップで(ダニエル・)リカルドに引っかかって、タイヤのウォームアップに苦しんだようです」と説明した。
こうしてQ2に進んだアロンソだが、15番手に終わった。Q2のアタック後、アロンソは「信じられない」とため息をつき、その意味を次のように説明した。
「僕がコーナーでいかにタイムを刻んでも、ストレートで失ってしまうんだ」
長谷川祐介総責任者も「クルマが遅かった」ことは認めている。「パワーで負けていることは否定しません。ドライバーが言うように、ストレートではドライバーは何もできませんから……」
しかし、ロシアGPの結果は、パワー不足がすべてではない。
アロンソの予選15位、バンドーンの予選17位は、じつは2週間前のバーレーンGPとまったく同じだった。
ただし、Q1でのトップとのタイム差はバーレーンGPはアロンソが1.013秒だったのに対して、このロシアGPでは2.328秒差と広がった。バーレーンは4本のストレートを低速コーナーでつないだレイアウトなので、よりパワーセンシビリティが高い。一方、ソチ・オートドロームは直線は2本で、直角コーナーが多い。
アロンソがQ1でスーパーラップを刻むことができたのも、コーナーリングでタイムを縮めることができるレイアウトだったから。
バーレーンGPでフロントロウを獲得したメルセデスAMGが、ロシアGPでフェラーリにフロントロウを奪われたのが、パワー不足が原因ではないことは明らかである。
そのコーナーリングで、マクラーレンは苦しんでいた。さらにQ2でアロンソは「いくつかミスをした」のである。
そのため、アロンソのQ2のベストタイムは、Q1のベストタイムである1分36秒353を更新できず、1分36秒660にとどまった。
ホンダがやらなければならない課題も山積しているが、マクラーレンが抱える問題も見え隠れしたロシアGPの予選だった。