アンドレッティの名が、1993年以来初めてフォーミュラ・ワンの世界に戻ってくることになった。IRLで活躍している期待の若手ドライバー、マルコ・アンドレッティが、来週ヘレスで行われるテストに参加することをホンダは明らかにした。
ホンダエンジンを搭載したマシンで、アンドレッティ・グリーン・レーシングからIRLに参戦している19歳のマルコは、デビューイヤーの今シーズン、インディ500で2位に入り、大いにメディアを賑わせた。またソノマでは初勝利を挙げ、「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」を獲得した。
ホンダは、来年行われる新型車RA107の発表会に先立ち、ブリヂストンタイヤの評価を目的に、今年最後のF1テストをヘレスで行うが、その際にマルコを招待してテストをする機会を与えることとなった。
マルコは、父親であるマイケル・アンドレッティのチームで今後もIRLでキャリアを積むことを明らかにしているが、F1でアピールするチャンスをオファーされたことを素直に喜んでいる。だが、わずか1日で未知の車両と未知のサーキットに挑まなければならない。
「ホンダが僕にこんな素晴らしいチャンスをオファーしてくれて本当に嬉しいよ。2006年は、僕にとってIRLでのデビューイヤーだったけど、ファンタスティックな1年だった。来シーズンもこの選手権で戦うことを楽しみにしているんだ」とマルコ。
「レーシングドライバーだったら誰でもそうだと思うけど、ホンダがドライブするチャンスをオファーしてくれたんだから、迷わずオーケーしたよ。どんな経験となるか、想像することしかできないが、目いっぱい走って、余すところなく楽しむことにする」
「僕はレーサーだっていつも言ってきたよね」とマルコは続ける。
「車なら何でもドライブしたいと思っているんだ。もちろんF1はそのリストのトップにあることは間違いない。僕はインディカー・シリーズに照準を合わせている。まだあそこでやらなければいけないことはたくさんあるからね。でもF1マシンで周回するチャンスをみすみす逃すことはないよ。本当にホンダには感謝している」
元IRLのスタードライバーであり、現在はホンダのスポーティングディレクターであるジル・ド・フェランは、マルコにテストの機会をオファーする理由として、彼の素晴らしいデビューイヤーでの努力に対する褒美であるとしながらも、彼がどの程度F1マシンでパフォーマンスを発揮できるかを見るのを楽しみにしているという。
「マルコが来週ヘレスでチームに合流し、F1マシンを初めてドライブするのを楽しみにしているんだ。マルコはまだ若いのにインディカー・レーシングでのデビューシーズンで素晴らしい走りを見せて大きな衝撃を与えた。広い意味で彼らもホンダレーシングのファミリーの一員だ。彼にF1初体験のチャンスを与えることができて、僕らにとっても大きな喜びだよ」
マルコの父親であるマイケルは1993年にマクラーレンでF1を戦っているが、マイケルはどちらかといえば不本意な成績しか残せず、彼にとっては短い、不名誉なキャリアとなってしまった。アンドレッティ家にとって息子のマルコのF1デビューはそれ以来のF1での走行となる。F1に良い思い出のないマイケルであるが、息子が束の間IRLを離れてF1を走ることを、経験が広がるのはよいことであると、期待している。
「いろんなタイプのレースカーを経験することは、マルコにとってとてつもなく大きな経験となる」とマイケル。
「彼はアンドレッティ・グリーン・レーシングとNYSEチームのために、IRLを続けることは決まっているが、今回のような機会をうまく利用して、様々なことを学ぶのは彼にとって間違いなく良いことだ。彼は若く、速い。彼の前には素晴らしい未来が広がっているよ」
マルコは父親のマイケルよりもむしろ祖父のマリオの成功を再現していくことになるかもしれない。マリオは、1978年にロータスで世界タイトルを獲得し、F1の歴史にアンドレッティの名を刻んだ。F1でチャンピオンになったアメリカ人はいまだにマリオが最後である。