今季フェラーリは、ジャン・トッドからドライバーのキミ・ライコネン、フェリペ・マッサに至るまで誰もが、マクラーレンと比較して自分たちのチームが信頼性に劣ることを嘆いてきた。しかし、今週末、強力なエンジンによって、選手権争いに一発勝負をかけようとしている。
1基のエンジンユニットが2度のグランプリで使用されるルールになっているが、フェラーリV8が信頼性を発揮してきたことで、両ドライバーは今季最終戦第17戦を新しいユニットでスタートすることができる。これによって、ライコネンとマッサは、ポイントリーダーのルイス・ハミルトンとの差を逆転させるべく、全力を尽くすことができる。
ライコネンは、日曜のブラジルGPでドライバーズタイトルを獲るわずかな望みを残している。一方マッサは、当然ながら2度目の母国優勝をぜひとも達成したいと願っている。
2007年のエンジン開発凍結により、インテルラゴスのエンジンは最近のレースで使用されたのと基本的に同じものとなるが、トラックエンジニアリングの責任者、マチア・ビノットによれば、ドライバーはふたりとも、通常のリミットを超えてプッシュできるエンジンでレースに臨めるのだという。
「過去に、エンジンを2レースもたせる必要がない状況だったときには、各チームは特別なエンジンの実験を行うことができた。しかし今では、エンジンが凍結され、できることには限界がある」とビノットは説明した。
「過去においては、たった1戦に向けての特別な開発も行えた。あるいは、より短いライフの特別な部品を作ることさえできたのだ」
「今年は、エンジン面ではかなり違った状況だ。開発という点で違っている。エンジン開発がまだ可能な領域も残っているが、過去に比べるとかなり小規模なものになっているからだ。私たちに可能な作業は非常に限られているが、レースの週末を通じてのエンジン・マネージメントは以前と変わらない。つまり、ある目標と限界をもってオペレーションを行い、信頼性を管理しながら、そのエンジンから最大限のパフォーマンスを引き出そうとする、ということだ。こうした要素は、以前とまったく同じだよ」
「しかしながら、すべての部品が同じでなくてはいけないものの、私たちがサンパウロに持っていくエンジンがカバーしなくてはならない走行距離が半分ですむのは事実だ。1000kmではなく、500kmですむのだ。つまり、エンジンの使い方をより厳しくしてみることもできるということになる。たとえば、より高い回転数で走らせることで、パフォーマンスの点で最大限の恩恵を得られるよう試みたり、より高温の状態で走らせることもできるだろう」