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GP topic:フェラーリは3トークン使用のエンジンを投入。トラブルは「HCCI」関連か

2016年4月29日

 フェラーリが、F1ロシアGPにトークンを使用した新しいパワーユニットを投入する。木曜日の段階で詳細は明らかにされていないが、使用した数は「3トークン」と言われ、使用した箇所はICEだと言われている。しかし本来フェラーリは、この段階でのトークン使用は考えていなかったと、フェラーリの事情に通じている関係者は語る。 


「バーレーンGPのフォーメーションラップでブローしたセバスチャン・ベッテルのパワーユニットのトラブル原因は『燃料噴射システムにあった』とフェラーリ側は説明しているが、実はエンジン本体の耐久性にあった。そのためフェラーリは信頼性向上を理由に、トークンを使用しないでエンジン本体の改良することを試みた。ところがFIAは、それはパフォーマンス向上につながるとして認めなかったらしい」 


 この一件で噂されているのが「セミHCCIシステム」の採用である。HCCIとは、Homogeneous Charge Compression Ignitionの頭文字を略したもので、日本語に訳すと「予混合圧縮着火」となる。ガソリンと空気を混合(予混合)させて、一定の圧力と環境下に置くことで、自発的に着火を行うシステムだ。一見、ディーゼルエンジンと同じように思われるが、ディーゼルエンジンと違うのは、HCCIは常に自発的に着火を行うわけではなく、加速時には通常のプラグによる燃焼が行われる。


 しかし、この技術は2000年代初頭から研究されているが、現時点ではどのメーカーも実用化できていない。それだけでなく、このシステムは現在のF1のレギュレーションでは認められていない。スパークプラグで着火すると規定されているためだ。そこでF1エンジンの技術者たちは、圧縮着火に、スパークプラグによる従来方式の着火を組み合わせたセミHCCIシステムを採用するようになった。


 このシステムを最初に開発したのが、2014年のメルセデスだと言われている。そのメルセデスから、ふたりのエンジニアを引き抜いたフェラーリが昨年から採用。ルノーは今年のカナダGPから採用すると囁かれ、ホンダも追随すると言われている。ただし、ホンダに関しては「すでに昨年からセミHCCIシステムを採用しており、あの独特の排気音になったのではないか」と指摘する関係者もいる。ホンダはセミHCCIシステムを採用しているかどうかについて明言を避けているが、「そのシステムの存在は認識している」(某関係者)と言う。


 すでに、フェラーリ(もしくはホンダ)がセミHCCIシステムを採用しているとしたら、なぜメルセデスに追いつけないのか。それは、セミHCCIシステムには燃料をより速くより低い温度で燃やし、熱エネルギーロスを抑えるというアドバンテージがあると同時に、大きな課題もあり、そのハードルをフェラーリ以下のメーカーが克服できていないのではないかと言われている。


 現在F1で採用されているセミHCCIシステムは、非常にリーンな状態で大きな爆発を発生させるため、燃焼室へかかる負荷が通常のエンジンでは考えられないほど大きい。バーレーンGPでベッテルのパワーユニットに起きたのは、そのトラブルだったと考えられる。たとえ信頼性向上を目的とした改善だったとしても、FIAがトークンなしでICEを改良することを認めなかったのは、そういった事情があるためだ。


 それにしても昨年からセミHCCIシステムを採用しているフェラーリが、なぜ2年目の今季になってもトラブルに見舞われているのだろうか。おそらく、2014年から採用しているメルセデスのセミHCCIシステムは第2段階へと突入しており、フェラーリは今年ようやく第2段階へと進み出したばかりだからだ。メルセデスが第2段階へとステップアップしたのは、昨年のイタリアGPだと言われている。というのも、セミHCCIシステムで重要となってくるのが燃料とのマッチングで、メルセデスは昨年のイタリアGPからペトロナスの新しい燃料を使いはじめている。


 HCCIシステムの技術は現在のF1パワーユニットで最も重要なものだけに、どのマニュファクチャラーも、くわしいことは口にしていない。いまだ詳細は謎のままだ。ただし、ホンダをはじめ、ほとんどのマニュファクチャラーのエネルギー回生システムによるパワーが頭打ちの状態となりつつあり、各陣営がエンジン本体(ICE)へと開発の重心を移しているのは間違いない。



(Text : Masahiro Owari)




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