ブラジルGP決勝当日のインテルラゴスは朝から雲が広がり、金曜と土曜に比べると涼しい。午前11時の時点で気温は24度、金曜に比べると3度以上、土曜に比べると2度ほど低いコンディションだ。
サーキットを包む空気が重いのは、天候のせいばかりではない。フランス・パリで13日に同時テロ事件が発生、FIAはブラジルGPのレース前に犠牲者へ哀悼の意を示すことを発表した。当初は「世界道路交通犠牲者の日」の一環として、交通事故に遭った被害者のためにレース前に1分間の黙祷を捧げる計画を立てていた。しかしテロ事件を受けて計画を以下のように修正するとともに、声明文を出した。
1:ドライバーズパレードで全ドライバーが喪章を着用する。
2:パレードでドライバーたちが乗るトラックに黒いリボンで彩られたフランス国旗が飾られる。
3:最後に「世界道路交通犠牲者の日」のために用意されたパネルがグリッド後方に提示され、交通事故の死傷者のために1分間の黙祷が捧げられる。
「FIAと、提携する140カ国以上にわたる236人のメンバーは、パリで発生した同時多発テロの家族と犠牲者の悲しみを共有する。事件はFIAの本部が置かれているパリで起きた。この耐えがたい悲劇に影響を受けたすべての人々を思い全FIAコミュニティの団結力を示したい」
ドライバーやチーム関係者も次々と哀悼の言葉を述べ、腕に喪章をつけて、テロの犠牲者と家族へ追悼の意を表している。
フランスに本社を置くルノーは土曜の朝から全員が喪章をつけてセッションに臨んでいた。ロータスは土曜に哀悼の意を表す声明文を出し、レースには「#PrayForParis」というステッカーをマシンに貼って臨むと発表している。ロータスのドライバーでフランス国籍を持つロマン・グロージャンは「僕の気持ちはパリで起きた事件で被害を受けたすべての人々とともにある。僕は何年もパリに住んでいたし、たくさんの友達もいるので本当にショックを受けている。今回起きたことは本当に悲しい」とメッセージを送っている。
レッドブルのヘルムート・マルコも喪章をつけており、F1全体がブラジルからパリの犠牲者たちへ思いを送り、テロに屈しない姿勢を見せている。
予選でトラブルが発生したフェルナンド・アロンソは新しいパワーユニットに交換。予選ではタイムを記録できず不通過扱いだが、レース審議委員会はフリー走行で十分なパフォーマンスを見せているとして決勝への参加を許可している。スターティンググリッドは最後尾の20番手、ピットレーンからスタートする可能性もある。
ピレリによれば「シミュレーションでは2回と3回ストップが、ほぼ同じ」ということで戦略は分かれそうだが、ブラジルGPはセーフティカーが導入される確率が高く、スタート直後に出た場合は2回ストップが多数を占めると予想できる。またインテルラゴスは金曜、土曜と雷雨に見舞われており、日曜も午後に雷雨の可能性がある。そうなると、ピット戦略を含めて読めなくなりそうだ。最新の天気予報ではスタート時刻の午後2時で降水確率43%、午後3時に47%、午後4時に51%と上がっていき、その後に雷雨と予想されている。
(尾張正博)