日本GPの日曜、レース前に行われるヒストリックカーによるデモランで、当初フェラーリF187をドライブする予定だった松田次生のシートが、直前になってマーティン・ブランドルに奪われるという事態が発生。松田次生は悲願だったF1マシンの走行機会を失ってしまうこととなってしまった。
フェラーリF187のゲルハルト・ベルガー車を鈴鹿でデモランする予定だった次生。前日までツインリンクもてぎで行われていたスーパーGT公式テストを終えて、都内の自宅に戻り、F1の予選を観戦してから昨夜、鈴鹿に入っていたが今朝、悲しい通知を受けることとなった。
F1の熱心なファンとしてテレビ中継の解説でもお馴染みの次生だが、これまで旧車を含めてF1マシンの走行経験がなかった。そこで鈴鹿サーキットの仲介によってF187の走行オファーを受けることとなり、次生は「本当にうれしい。当日はなんとしてでもスケジュールを空けておきます!」と念願だったF1マシンの走行を楽しみにしていたが、残念な結果になってしまった。
乗れなかった理由の詳細は明らかになっていないが、どうやらFOM(フォーミュラ・ワン・マネージメント)が、グランプリウイークにおいてのF1マシンのデモランは、かつてのF1ドライバーしか走行を認められないということらしい。フォーミュラ・ニッポン、スーパーGTチャンピオンの実績がある次生と言えども、グランプリウイークの走行はハードルは高かった。
「すでにヘルメットやレーシングスーツ、グローブなど一式は鈴鹿に送ってきてしまっていたので……。やっぱりF1はいろいろ特別ですね」と肩を落として苦笑いする次生。走行機会は奪われてしまったものの、決勝日はPit FMでの解説など、忙しく過ごすことになるという。
「スーパーGTでもここ2戦、悪い流れになっていますが、ここでもか、という気持です。鈴鹿でのデモランを楽しみにしていたファンの方には申し訳ない気持です。でも、悪いことばかり続くわけじゃない。これで運の悪さは出し切ったと思って、スーパーGTでも最後の2戦でタイトルを目指します」と、最後は気丈に振る舞った次生。その後、ピットロードでメルセデスやフェラーリ、ウイリアムズなど現役のF1マシンを見ているうちに、その表情はF1好き、レース好きの笑顔に戻っていた。