フェルナンド・アロンソのマレーシアGPでの勝利は、ルノーRS25エンジンにとって記念すべき里程標のひとつになった。最新の“2レースエンジン”の中でも、2戦目で優勝を遂げた最初のエンジンになったからだ。それはメルボルンでのシーズン開幕戦でジャンカルロ・フィジケラが挙げた勝利に続く今季2勝目でもあり、ルノーのエンジンに対する評価をさらに高めることに役立った。
しかし、開幕から2連勝という大成功にもかかわらず、ルノーのエンジン開発のリーダー、デニス・シェブリエは、チームのビリー・シャティヨンのファクトリーに慢心はなく、彼らのエンジンは今後もリファインを続けていくことになると述べた。
「これまでと同様、信頼性は何よりも重要だが、それはエンジンを評価する唯一のパラメーターではない」とシェブリエ。「私たちにはリラックスしている余裕はないし、性能を改善しうるすべてのエリアでアクセルを緩めないつもりだ」
「過剰な自信は禁物だが、エンジンのライフを通じて何のトラブルもなく2レース目の終わりまで到達できたことは、計り知れないほどの満足感をもたらした。それはこの冬の間にチームが行ってきた仕事のクオリティの証明であり、デザインオフィス、ダイナモ、そしてテストの現場での私たちの全ての努力に対する素晴らしい褒賞でもある」
「メルボルンとマレーシアで、私たちはエンジンのマイレージ(走行距離)と性能を注意深く管理し、それによってレースディスタンスを何の問題もなく走りきることができた。このチャレンジを実際に終えてみるまでは、なかなか全面的な自信は持てなかった。それだけに、私たちの予測がこうしてコース上で確認されたことにはたいへん満足している」
この冬のルール変更により、同じエンジンを2つのグランプリで使用しなければならなくなったにもかかわらず、開幕からの2戦では明らかなエンジントラブルはほとんど見られなかった(マレーシアでのBARホンダを唯一の例外として)。しかし、シェブリエはそれも特に予想外のことではないという。
「ライバルチームたちの仕事の上でのプロフェッショナリズムはよく知っていたし、すでに2004年の時点でエンジンメーカーは信頼性の面での大きなチャレンジ(注:昨年の“1レースエンジン”の規定)に直面し、それを見事に乗り越えてきた。今年も私たちは同様に素晴らしい成果を目にしている。まだ分からないのは、グリッド上の各チームがこうした高い信頼性を達成するために、どの程度までパフォーマンスを犠牲にしたかという点だ。ルノーに関しては、最初の2戦においてコース上で最も速い車だったという事実が示しているように、その総合的なバランスは満足できるレベルにあると思う」