FIA F3000で連続チャンピオンを獲得しているアーデン・インターナショナルが、F1参入を目指すうえで、興味の対象をジャガーからジョーダンに転じたのではないかと、英国メディアが報じた。
デイリー・テレグラフ紙によると、アーデン代表のクリスチャン・ホーナーはすでにエディー・ジョーダンと会見し、ジョーダンチームの買収について話し合ったという。ジョーダンチームは、ドバイ王室が買収を狙っているとされていた。しかし、ジョーダンとアル−マクトゥーム家との契約は、イタリアGPの前週に成立すると予想されていたにもかかわらず、5000万英ポンドといわれる価格がネックになって、話し合いが暗礁に乗り上げたようだ。
アーデンが契約を結ぶとなれば、ホーナーも似たような金額を用意しなければならないだろうが、この買収ではジョーダンの未払い債務を引き受ける必要はなく、グリッド上のポジションを保証するための保証金を出さなくてもF3000からF1にステップアップできるようになる。ホーナーは、ジャガーチームに関しても同じような買収計画をウワサされていたが、ジャガーの親会社フォードの方針転換により、F1チームを社内に留めようとする動きが報じられて以来、そのウワサは沈静化している。
アーデンは、ここ数年F3000の有力チームとなっている。過去3年にわたってチームタイトルを獲得し、2003年にはビヨルン・ウィルドハイム、2004年にビタントニオ・リウッツィが、ドライバーズタイトルを獲得している。2002年にも、トーマス・エンゲがもう少しでタイトルを獲得するところだったが、ドラッグテストに引っかかり、ポイントを剥奪されてしまった。
ホーナーは、F1にステップアップしたいという望みを、ほとんど隠そうとはしていない。FIAのマックス・モズレー会長が、現在10チームからなるF1に新規参戦を可能にするために、ルールを緩和する可能性を示唆して以来、その傾向は顕著だ。4800万ドルの保証金を廃止する案はまだ実現しそうもないが、モズレーは、グリッドを充実させるために、既存チームが型落ちのマシンを新規参入チームに売るという案に、引き続き積極的だ。この案が実現すれば、新規チームは独自のマシンをデザインして製造する費用を省き、人件費と技術コストを節約することができる。ただし、年間レース数の増加に伴って、輸送費が余計にかかるようになり、レース間のテストも必要になるだろうが。
アーデンのジョーダン買収が成立しても、グリッドの数は増えないし、アーデンはマシンのデザインと製造の費用を節約することはできないだろうが、ホーナーがF1に参入し、エディー・ジョーダンがF1から退場することになるだろう。ジョーダンは、チームが絶頂にあった1999年以降、経済的な困難に直面していることを隠そうとはしていない。そして先日のスパでは、2005年のスポンサーが見つからなければ、チームをたたむしかないだろうと認めている。
アル−マクトゥーム家との契約では、エディー・ジョーダンは、自らが1991年にF1に参戦させたチームの持ち分を、いくらか手元に残すことになるようだが、ホーナーとの契約が成立すれば、ジョーダンは完全にF1を去ることになりそうだ。