ジェンソン・バトンの移籍に関する騒動は、Ｆ１にまた新たな影を投げかけるだけだ、とハンガリーでこの件に関して聞かれたチームボスらが答えた。
　金曜の公式記者会見でチーム代表らが、バトンの２００５年のウイリアムズ移籍について、それぞれの意見を表明する機会を得た。バトンの現在の雇用者であるＢＡＲは、バトンと法的に有効な契約を保有していると主張して、その移籍に異を唱えている。ＢＡＲのデイビッド・リチャーズ代表は、契約承認委員会が今月下旬にこの件について話し合えば、自分に有利な結論が出るだろうと考えている。しかし、ウイリアムズもバトンも、自分たちの方が強固な論拠を持っていると信じている。
　この件に直接巻き込まれることを望まないながらも、この記者会見に出席した３人のチーム代表らは、バトンのやり方がよくなかったという考えを述べた。バトンは、まずリチャーズに話したうえで、新しい契約に同意したと主張しているが――彼のやり方は、Ｆ１を見ている一般の人々に対してよくない印象を与えるだろう、というのがチーム代表らの考えだ。
　ジャガーのトニー・パーネルは、次のようにコメントした。「いささかお粗末な話だし、Ｆ１にとっても少々よくないニュースだね。私たちはもっとクリーンなイメージを望んでいるのに、詳細は私たちには決してわからないだろうし、これはチームを変わるやり方としては、非常に残念なやり方だと思う。マーク・ウエーバーは（ウイリアムズへの移籍を）見事なかたちでやり遂げた。私たちは、状況を何カ月も前から知っていた。だが、ジェンソン・バトンの件からのメッセージは、Ｆ１が求めているものとはあまり一致しないと思うね」

　エディー・ジョーダンも、この件がおかしいという点に同意した。ジョーダンもかつて、ドライバーの離脱を経験したことがある。ミハエル・シューマッハーが、１レースだけでベネトンに移籍してしまった時のことだ。
「Ｆ１をスポーツとして見ている一般の人たちにとっては、理解しがたいことだろう。ホッケンハイムで生涯最高のレースをして、その数日後に、現在属しているチームほどコンペティティブとはいえない別のチームに移籍することを発表するなんてね」と、ジョーダンはバトンの決断を評して述べた。「そんなことをするとなれば、何かがすでに持ち上がっているか、これから何かが起ころうとしているか、さもなければその男の頭がおかしくなったかだ。私としては、ジェンソンの頭がおかしくなったんじゃないかと思ってしまうね」
　ルノーのパット・シモンズは、この事態に至ったやり方については看過できないが、バトンのＢＡＲ離脱は認められた方がいいと思うと述べた。
「私たちは事実を知らないが、私に言える唯一のことは、雇われている者がそこで働きたくないというなら――ドライバーでも、メカニックでも、床を掃除する人間でも同じだが――それを引き留めようとしても仕方がないということだよ。円満なチームが必要だし、喜んで働いてくれる人たちが必要だ。誰かがそこで働きたくないというなら、なぜそうなのかを、自分に問い直すべきだ。私がこの件についてコメントできるのは、それくらいだと思うよ」と、シモンズは述べた。

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