今シーズンを最後にFIAの会長を辞任すると発表したマックス・モズレーに対し、辞任を考え直してほしいとの声が高まっている一方で、後任候補とされるジャン・トッドは、その意思がないことを名言した。
モズレーの辞任とそれに続く理由説明は多くの関係者の不意をつく形で発表された。事前に何の連絡も受けていなかったF1の各チームは、これまで度々モズレーと意見の衝突を起こしてはきたが、彼の辞任については、F1が今より悪い方向へ行き、収拾がつかない状態にさえなる可能性があるということで意見を一致させている。
BARのボス、デイビッド・リチャーズはロイター通信に対して次のように述べた。
「F1が現在直面している問題について、マックスほど理解している人間はいない。このままでは大きな穴が開いてしまう」
「これで、私たちの思いどおりのことができると言う人もいるだろうが、モズレーが辞めれば痛手となるだろう。個人的な感情としては、正体の分からない敵より正体の分かる敵の方がいい。彼にはぜひ考え直してもらいたい」
リチャーズ以外のチームボスたちも同じく、モズレーの留任を希望している。ミナルディのボス、ポール・ストッダートは、モズレーには、なかなか意見の総意を得られないばかりか、決定に意を翻しもする各チームをまとめあげる力があると主張する。
「マックスは各チームをまとめ上げるのに欠かせない人物だ」とストッダート。「そのような役割を引き継げる人間は見当たらない。他に誰もいないんだ。かつては喧々囂々の議論を重ねたこともあったが、マックスが辞めればF1は後退してしまう」
モズレーの後釜とウワサされるフェラーリのジャン・トッドは、会長職には興味がないと言う。いまはフェラーリのあらゆる面を管理することに集中しており、これ以上にストレスの多いポジションに移りたくないと述べる。
トッドは、FIA会長職の打診がいつあったのかと尋ねられると、次のように答えた。「私は(フェラーリを)去って、容易に意見の一致を見ない人々をまとめあげる仕事につこうなどとは思わない。いまは(フェラーリでの)仕事に一生懸命だ。私は、自分が愛している人間と仕事をしていく」
トッドはまた、F1の商業権を握るバーニー・エクレストンの後任になるともウワサされている。もっとも、いまのところエクレストンについては、現在の地位から退く気配すらないが。