日曜のカナダGPでは、ミハエル・シューマッハーが、弟のラルフと同僚のルーベンス・バリチェロをおさえて優勝した。ジャン・トッドは、「素晴らしい勝利だった」と、笑顔で語った。
「これは、モントリオールのコースでミハエルが挙げた7勝目であり、フェラーリとミハエルにとって、今季8戦中7勝目にあたる」とトッド。
「実のところ、今回のレースのスタート時は、普通なら優勝できるような状況ではなかった。ミハエルは予選6位、ルーベンスは7位からのスタートだったから、優勝争いには加われないと思われたかもしれない。しかし、この週末の最初から、私たちは2回ストップ作戦が勝利に結びつくのではないかと考えていたし、実際その通りになったんだ」
わずか4時間後に、トッドは自分のチームのマシンが1−2フィニッシュを成し遂げたという知らせを受け取った。ラルフ・シューマッハーとウイリアムズチームが、ブレーキダクトのレギュレーション違反により、失格とされたからだ。これは、作戦が成功して優勝を達成できたトッドにとって、予期せぬボーナスとなった。
「正直言って、私たちはとても厳しい状況を覚悟していたが、いい成績を目指して戦うことはできるだろうと思っていた。しかし、勝てるだろうとは予想していなかった。チャンスがあることは分かっていたが、もちろん、6位と7位からのスタートでは、状況の予想は難しくなる。いや、このサーキットでは、私たちのパッケージからすると2回ストップの方が競争力があるだろうとは分かっていたから、それを選んだんだ」
「もちろん、チーム全体の努力が報われることになったね。現在のフェラーリのポジションは本来、予選6位や7位ではないのだから、もし予選で6位と7位なら、実際の予選順位からは予想できないような結果になるかもしれないと思っていた。実際その通りになったが、最終的には、その作戦がうまく行ったのだから、正しい作戦だったということだ」
トッドは、チームがこれほどの勝率を保っていて、どのように自分のモチベーションを維持しているのかと尋ねられた。「適材適所にすることだ」というのがその答えだった。「そうすれば、安定性と純粋な熱意を持ち、集中して、何事も当然とは思わず、謙遜し、慎重に、目標を目指して努力することができる」
だが確かに、彼にはほかのことをする時間はあまりないはずだ。「寝る時間はあるよ。それ以外に必要なものがあるかい? 選択の余地はないんだ。何かをしたかったら、それに打ち込まなくてはならないし、しっかりやらなくてはならない。だから、時間がかかるんだよ」