アメリカGP初日予選は、セッション途中から大雨が降り出す展開となった。Lucky Strike B・A・R Hondaのジェンソン・バトンは、その直前にアタックを終え、辛くも10番グリッドを確保。しかしジャック・ビルヌーブは完全ウェット路面で走ることになり、16番手に終わった。
インディアナポリスは、初日から気まぐれな天候に翻弄された。朝方は晴れ間も見えていたものの、雲は次第に厚くなり、天候は下り坂と予報された。午前中のフリー走行が始まった時点では、路面は完全ドライ。ところがセッション後半に雨が降り始め、終盤にはかなり激しい降りとなった。雨が降り出す直前に、G・フィジケラ(ジョーダン)のマシンがエンジンブロー。約20分間セッションが中断されたこともあって、ドライ路面での走行は正味20分余りになってしまった。フリー走行ではバトンが12番手、ビルヌーブが14番手。しかしウェット路面でのタイムは悪くなく、両ドライバー共に全チームの中で最も多い周回数を走行。初日予選に向けて順調にセットアップ作業を進めた。
その後雨は上がり、予選が始まる午後2時までに路面はほぼ乾いてしまった。しかし上空には、今にも雨が降りそうな鉛色の雲が垂れ込めていた。気温はこの時点で16℃と、例年に比べるとかなり低い。選手権トップのM・シューマッハ(フェラーリ)は、ドライタイヤでコースイン。その後も7番手出走のデビッド・クルサードあたりで雨がちらついて来たものの、トップ10人のドライバーはほぼドライ路面でタイムアタックを終えた。
小雨の中、10番手で出走のバトンは、低速のインフィールド区間でタイムが伸びず、この時点でポールシッターのトゥルーリから、すでに2秒の遅れを喫してしまう。エンジン全開状態が22秒以上続く最終区間では健闘したものの、結局10番手タイムに終わった。
そしてこの後、雨はさらに降り続き、セッション開始後35分には「悪天候タイヤ装着許可」が出されるほど雨脚は強まり、路面コンディションは悪化してしまった。15番手出走のビルヌーブがコースに出て行ったのは、その数分後。当然、ウェットタイヤへの交換以外にセットアップを変更する時間は無く、上位陣を上回る速さで走ることは不可能な状況で1分18秒台のタイムが精一杯だった。バトンはトップ10グリッドを確保したものの、ビルヌーブは16番手に終わった。初日ポールは、J・トゥルーリ(ルノー)だった。
●中本修平
エンジニアリング・ディレクター
Honda Racing Development
「今日はセッション中に雨が降ったり止んだりしたおかげで、タイムが大幅に影響を受けました。明日の天気予報も今日と同じようなので、何が起きても不思議ではありません。今度は我々に幸運が巡ってくるかもしれませんね」