「今日の予選は、クルマが持ってるポテンシャルを最大限を引き出せたという点では満足している」
開幕戦で今年最初の終えたフェルナンド・アロンソは、そう語った。バルセロナのテストではトラブルが続いていたマクラーレン・ホンダ。ぶっつけ本番のような形でメルボルンに乗り込んだチームのだれもが、独特の緊張感の中で戦っていたことは想像に難しくない。
だが、テスト後、開幕戦までの2週間の間に、マクラーレンもホンダも改善を試み、オーストラリアGPではマシンがコース上でストップするような機械的なトラブルを起こさなければ、そのマシンをドライブするドライバーもダメージを与えるようなドライバーエラーも起こしていない。
しかし、予選に入ってライバル勢がエンジンのモードを切り替えてスピードアップしてきたのに対して、ホンダの予選モードは伸び悩んだ。フリー走行で314.5km/hで16番目の最高速だったアロンソは、予選で316.6km/hで18番目に後退。金曜日に312.3km/hで最下位だったストフェル・バンドーンの予選最高速は314.4km/hでこの日も最下位。一方、ライバルの中には前日から一気に8km/hも上げてきたところもあった。
それでも、この日アロンソがQ2に進出したのは、オーストラリアGPの舞台であるアルバートパーク・サーキットが半市街地コースで、ドライバーの能力が問われるレイアウトになっているからだ。経験の浅いドライバーにはもちろん、このコースでレースをした経験を持つドライバーにとっても、新しいレギュレーションになってコーナーリングスピードが大幅に上がって行われる初めての予選は、非常に難しいものとなったのは、赤旗が出ていることでもわかる。
「挙動がダイナミックになった新しいF1マシンにおいては、彼の真価がより発揮された予選となったと思います」と長谷川祐介ホンダF1総責任者は語った。
なお、その予選で18位に終わったバンドーンだが、これは「1回目のアタックに出て行った直後に、燃圧が上がらないというトラブルを抱えたことが大きく影響していた。長谷川総責任者によれば、「何らかの原因で(燃料タンクからエンジンに供給されるまでの間に)エアが噛んでしまった」という。そこで、チームはバンドーンをすぐにピットインさせ、燃料を予定よりも多めに入れてチェックランを行い、問題がないことを確認して最後のアタックに出した。
ところが、このときバンドーンはフェルナンドの前でコースインしていた。チームは、また同じ問題がバンドーン出て、Q1通過ラインのギリギリのポジションにいたアロンソのアタックが台無しになって、2台そろってQ1落ちするリスクを考えて、バンドーンとアロンソのポジションを入れ替える指示を出す。そのため、バンドーンはアウトアップでタイヤをうまく温めることができず、満足のいくラップにならなかった。
したがって、今日の予選結果はバンドーンの実力を反映したものではない。そのことは、長谷川総責任者も認めている。
「われわれのチームには才能のある2人のドライバーがいます。チームの実力というのは、ドライバーの力も含まれます。厳しいレースになるでしょうが、チャンスが訪れたとき、われわれのドライバーたちは確実にそれをつかむ力を持っています」
波乱が多い開幕戦オーストラリアGP。マクラーレン・ホンダの2人のドライバーが、どんな荒波に乗るのか、楽しみにしたい。
(Masahiro Owari)