ポール・ストッダートが、ミナルディPS04BをオーストラリアGPに出走可能とするために訴訟を起こした件で、FIAは、オーストラリアが今後は国際的なイベントを開催することができなくなるかもしれないと警告した。
ミナルディ代表のストッダートが、ビクトリア州の最高裁判所に法的な裁定を求めたことはひとつの前例を作った。これは、FIAに大きな懸念の種を与え、潜在的な問題の詰まったパンドラの箱を開けることになってしまった。
これに対してFIAは、次のような声明を発表した。「オーストラリアの法律や手続きで裁判官がこのようなことを行うのが本当に許容されるのであれば、世界のモータースポーツのいかなる選手権イベントも、今後オーストラリアで開催することが可能かどうか、世界モータースポーツ協議会で決議しなくてはならないだろう」
オーストラリアの統括団体であるCAMSも、やはり声明を発表しFIAの懸念に同調した。この問題は、オーストラリア人のFIA代表ジョン・ラージによって、3月30日に開かれる世界モータースポーツ協議会の会議に提起されることになっている。
FIAの反撃によって、ストッダートが法的措置の脅しを取り下げるかどうかはまだ分からない。しかしストッダートは、裁判所から差し止め命令を勝ち取ると、すぐに180度方向転換して、メカニックたちに不適格だったPS04Bを2005年型に変えさせた。この仕様でミナルディは土曜から走行した。
次のような、皮肉な見方をする者たちもいる。ストッダートは、ただFIAの決意を試すために古いバージョンのマシンを走らせようとしたのであって、最終的にこの問題を法廷に持ち出せば、コンコルド協定に有利な判決が出るだろう、FIAはこのスポーツの運営基礎となっている文書を無視して勝手に振る舞うことはできない、という裁定が下るだろうと確信していたはずだ、というのだ。