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scope:F1を戦う自動車メーカーに果たしてほしい役割

2016年4月26日

 コース上で繰り広げられる“スポーツ”としてのF1から、ちょっと離れた話題を取り上げて論じる連載コラム。自動車メーカーの参戦は歓迎されるものの、活動休止や撤退でF1の世界を振り回す“厄介者”として非難を浴びることも多い。F1を戦うメーカーに対して、ファンは何を求めているのか──今宮雅子氏が、自動車メーカーが果たすべき役割について考える。

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 2005年4月24日、サンマリノGP。フェルナンド・アロンソが誇らしげに示した親指、人差し指、中指が「3勝目!」の喜びを発散した。62周レースの終盤12周、すべての周回で至近距離からミハエル・シューマッハーの攻撃を受けながら、0.215秒差で抑えたレースだった。

「たぶん、いままでで一番のファイトだったと思う。コーナーのミッドでスピードを維持して、出口で少し早くアクセルを開ける。それだけが僕のチャンスだった」

 イモラの週末、アロンソは金曜から土曜朝のフリー走行を、ほとんど走っていなかった。その理由を彼が明らかにしたのは、ゴール後のこと──第3戦バーレーンで勝利したエンジンは、内部に傷を負っていた。しかし2005年のF1では、1基で2グランプリを走破することが義務づけられていた。

「バーレーンからイモラの間に、エンジン側の技術者たちは信じられないような仕事──見事な分析を行った」

 フリー走行を走らず、レースでも回転数を抑えて使用すれば、ぎりぎりで305kmを走り切ることができる……チームとドライバーはペナルティを回避するため傷ついたV10で走り続ける決断をした。23歳のアロンソは困難な週末を乗り越えて、V10の命とシーズン3度目の勝利を守り切った。

「将来のチャンピオンのレースだった」と言ったのはパット・シモンズ。アロンソが初めてのタイトルに輝いたのは、5カ月後のブラジルGPのことだ。

エンジンには「アスリートの告白」のようなドラマがある

 いまのF1は面白くない、以前はもっと面白かったと言われる。“最高の時代”は人それぞれ──アイルトン・セナやアラン・プロストの時代までさかのぼるファンもいれば、無敵のシューマッハーに挑む新人の「ブルーとイエローのマイルドセブン・ルノー」に惹かれたファンもいる。

 たしかなのは、10年ほど前まで、みんなが、こんなエピソードにアクセスできたということ。アロンソが「ものすごく慎重にエンジンを扱わなくてはならなかった」理由を、ルノーのエンジニアは正直に説明した。エンジン内部の傷は内視鏡で確認していたこと、イモラの完走を目指して膨大なシミュレーションと分析を行ったこと、最後はフェルナンドとの話し合いで決断したこと──「彼は信じられないようなストレスのなかで、信じられないほど見事に戦い抜いたよ!」という、至上のリスペクト。

 エンジンカウルに覆われた内部の黒い塊は、走行中のマシンでは見えない。でも、車体のどんなパーツよりも複雑なメカニズムで稼働し、“体力”の限界で戦っている。だから、見た目にも鮮やかな空力マシンとは違う、ある種アスリートの告白のようなドラマがエンジンにはあった。2006年の鈴鹿、規則正しくシューマッハーの5秒後方を走り続けたアロンソが、ピットから「攻めろ」という指令を受けつつ、エンジンを労わるためにショートシフトして走り続けていたという話も、レース後の取材でわかったこと──ブリヂストンvsミシュランの最終年、タイヤの巨大なグリップに支えられたF1にとって、鈴鹿は過去に例のないほどエンジンに厳しいサーキットになっていたのだ。

 V8時代に入って、2006年末以降エンジン開発を凍結したことによって、F1は、こんな「機械の話なのに人間的で素敵なエピソード」を排除してしまった。8年間も基本は同じエンジンで走り続けたのだから、2014年のパワーユニット導入によって、すべてが覆ったのも当然だ。その結果、今日のF1で「メーカーが、くだらないルールを作った」「自然吸気に戻すべき」という意見を聞くと、マシンの心臓部の開発はF1にとって、そんなに邪魔なのか? と感じてしまう。エンジンやパワーユニットの技術者だって、スポーツしているのに。





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