2016年のF1は、ペトロナスから供給を受けるメルセデスと、シェルから供給を受けるフェラーリの間で競争が激しくなることが予想される。ペトロナスは、ライバルである燃料オイルサプライヤーのシェルに対して、強いライバル意識を抱いている。
シェルは、2015シーズンにフェラーリのパワーユニットのパフォーマンスを25%向上させたと主張。これは平均して1ラップあたり0.5秒、1レースあたり30秒のタイム短縮に相当するという。これに対してメルセデス・モータースポーツの代表トト・ウォルフは英国オートスポーツの取材に応えて「興味深い数字ではあるが、それほど現実的とは考えられない」と言及している。
メルセデスの主要スポンサーであり、重要な技術パートナーでもあるペトロナスは2015年イタリアGPで新燃料を導入。これによってパフォーマンスを改善している。来季は、シェルとタッグを組むフェラーリとのバトルが激化するのは必至だ。
ペトロナス技術開発部モータースポーツ・マネージャーおよび渉外担当のアンドレア・ドルフィは「HPP(メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレイン)の一連のエンジニアリング活動に遅れをとらないよう、戦いながら努力し、前身している。F1におけるソリューションは流体エンジニアにとって、まさに特注品だ。我々はチームとともに作業にあたらなければならない。わかりやすく言うならば、技術競争ということだ。最終的に肝心なのは、コース上での結果。すべての面から得るものがある。我々はメルセデスと仕事をし、前進して、明らかに顕著な進化を遂げるべく努力をしている」と語った。
ペトロナスは2016年の開幕戦で、さらに新たな燃料とオイルのアップデートを投入する予定があるという。メルセデスのダブルタイトル獲得を記念してクアラルンプールで開催されたペトロナスのイベントにおいて、燃料技術およびオイルビジネス・マネージャーであるチャン・ミン・ヨウは以下のように発言している。
「相当量の進歩が得られ、アドバンテージが確実であると判断したときに新燃料を発表する。2015年はイタリアGPで新スペックエンジンとともに新しい燃料を投入し、タイムの短縮が見られた。だが我々は立ち止まってはいられないので、前進を続ける。開発の過程で、定期的な向上が得られている。次のアップデートは満足な数字が出てから投入する。新しいシーズンに向けての何かを考えているところで、できれば開幕戦、それが無理ならば可能な限り早い時期での導入を考えている」
「2014年に新しい配合の燃料を発表したとき、開発の余地はそれほど残っていないと思ったが、実際には見つけることができた。驚きだった。開発を続けていけば、最終的には何かを発見することができる」