アメリカGPのパドックでは、レッドブルが2016年はホンダのパワーユニットを搭載するのではないかという噂が急速に広まっている。
レッドブルのクリスチャン・ホーナーとヘルムート・マルコが金曜にサーキットへ到着したのは、セッション開始後。チームのトップ2がそろって“遅刻”するのは異例で、何か重要なミーティングがあり、それはホンダとのミーティングだったのではないかという憶測を生んだ。
ホーナーに「ホンダのスタッフと会っていたために遅れたのか」と尋ねたところ「時差ぼけがひどくて、起きるのが遅れてしまっただけだよ」と笑顔で返答。マルコにも同じ質問をすると、やはり同じ答えだった。しかし、もしホンダと話し合いをもっていないのなら、明確に否定するのではないだろうか。
もうひとつ、ここに来てレッドブルがホンダに接近していると思える節がある。それはホーナーのホンダに関するコメントだ。シンガポールGPでホンダを搭載する可能性について尋ねたとき、ホーナーは「ゼロではないが、現時点では1%未満」と答えていたが、アメリカGPで同じ質問をすると、こう答えた。
「これまで、さまざまな噂が流れた。メルセデス、フェラーリ、ルノー、そしてホンダだ。そういう意味では25%の可能性があるということになる」
ホーナーにとって、確実にホンダ搭載の可能性が高くなっていることは間違いない。それだけレッドブルの来季パワーユニット探しが難航しているということでもある。また、不安視されていた「レッドブルがF1から撤退する」という選択肢は、なくなったのだろうか。
「いま私がやらなければならない仕事は、この素晴らしいチームが2016年もレースができるように最善を尽くすことだ。状況が進展したら隠さずに伝えるよ」と、ホーナーは言う。
ダニエル・リカルドはロシアGPで「2〜3週間のうちに、なんらかの決定が行われるだろう」と語っていた。レッドブルの将来が決まる「Xデー」は、それほど遠くないはずだ。
なお、ホンダが来季レッドブルへパワーユニットを供給する体制を整えることはできるのか。マクラーレンの了承は得られるのか。仮に「レッドブル・ホンダ」の話が進んでいるとしても解決すべき問題は多い。パドックでは、バーニー・エクレストンが、マクラーレンのロン・デニスがホンダの他チームへの供給を阻んでいることに不満を表したという噂も挙がっている。
(尾張正博)