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ホンダ供給のパワーユニットとは。14年規定を知る
2013年5月17日
LAT
16日、ホンダが記者会見を開き、2015年からF1世界選手権にマクラーレンとジョイントし、『パワーユニット』を供給すると発表した。エンジンの供給ではなく、パワーユニットの供給だ。これを理解するためには、2014年からのF1規定を理解しておく必要がある。
今回のF1復帰発表で、ホンダの伊東孝紳社長は「エンジンを中心とした、パワーユニットサプライヤーとしてマクラーレンとのジョイントプロジェクトのもと、2015年から参戦する」と宣言した。一般紙等の今回の復帰報道には『ホンダが2015年からエンジン供給』という書き方もあるが、間違いではないが的確ではないかもしれない。
■2014年から、F1は大きく変わる
これまでF1エンジンは、1988年にターボエンジンが禁止されて以降自然吸気エンジンのみとなり、その後さまざまな変遷を遂げ、2006年には自然吸気2.4リッターV8エンジンに移行。Vバンクや重心高などが定められ、各メーカーの個性はなくなり、さらに費用高騰にともない開発も凍結され、マシンを構成する「パーツのひとつ」となっていった。
しかし、2014年からF1の規定は大きく変わる。バンク角90度の1.6リッター直噴V6ターボエンジンに、ふたつのエネルギー回生システムが組み合わされる。これまでも使われてきた運動エネルギー回生システム(KERS)と同様のMGU-K(モーター・ジェネレーター・ユニット-キネティック)、熱エネルギー回生システムであるMGU-H(モーター・ジェネレーター・ユニット-ヒート)というふたつの回生システムを組み合わせたものが『パワーユニット』と総称され、このパワーユニットによってF1マシンは推進されるのだ。
この『パワーユニット』こそ、ホンダがマクラーレンに供給するものだ。つまりエンジン単体ではなく、エンジン、MGU-K、MGU-H、ES(エナジーストア=バッテリー)、それぞれから発生するパワーをドライバーの意に沿うようにコントロールするパワーユニットコントローラー等すべて含めたものが、2015年からマクラーレンのシャシーに搭載される。
変わるのはエンジンの形式だけではない。2014年からのF1新規定は、非常にシビアな要求がされている。過去にそのサウンドは“ホンダミュージック”と謳われ、強大なパワーで多くの勝利を獲得してきた第2期ホンダF1の頃とは、完全に求められるものが違う。それは、燃料についてふたつの制限がかかっていることだ。
autosport.com
■驚異的な熱効率が求められるエンジン
これはエネルギー効率の向上を目指し、無償の空気よりも有償のガソリンを制限しようという考え方に基づく。まず、ターボのブースト圧に制限はないが、燃料の瞬間最大流量に100kg/hの制限がかかっている。ブースト圧をいくら上げても燃料流量が決まっているので意味がない。さらに、燃料タンクの容量は100kgに制限される。ちなみに、2012年では1レースを走りきるのにおよそ155〜160kgの容量が必要とされた。これは現在と同じ距離を35%少ない燃料で、ほぼ同じラップタイムで走ることが要求されるということだ。
Renault
パワーユニット自体のパワーとしては、V6ターボエンジン自体で600馬力、ふたつの電気モーターから来るパワーで161馬力が発生される。現在のV8エンジンとほぼ同等の数値で、電気モーターによる回生があるとは言え、14年からの直噴V6ターボには驚異的に高い熱効率が求められる。ルノースポールによれば、14年からのF1エンジンは、市販車に搭載される非常に優れたディーゼルエンジンと同等の燃料効率を実現する。
“性能=燃費”。14年からのF1は、限られた燃料を効率良く使うことができたパワーユニットを開発したメーカーが勝つ。もし燃費が達成できない場合は、完走すらままならない。特に、MGU-Hには制限がなく、ここで大きな電気エネルギーを取り出すことができれば、ライバルに対し優位に立つこともできる。
■第2期、第3期とは異なる挑戦
これまでの概念を大きく上回る燃料効率、そして回生システム。ホンダもプレスリリース内で「これらの技術への挑戦は、内燃機関のさらなる効率化や、ハイブリッドシステムなど、先進のエネルギーマネジメント技術を常に追求してきたホンダにとって、将来技術の開発や技術者の育成などにおいて大きな意義があると捉えた」とこの14年F1規定の導入が、F1復帰のきっかけになったとしている。
「F1の新たな技術の方向性と、ホンダの目指す方向性が合致していた」と会見で伊東社長も語った。これらの技術は、これからの市販車に求められるものとも合致する。
「レースに勝利することこそがホンダ。ホンダのスローガン『The Power of Dreams』を実現するために、かつての盟友であるマクラーレンとともに世界に挑戦し、一日も早くF1で勝利を挙げたい」と語った伊東社長。パワーを求めた第2期、トータルパッケージを求めた第3期とはまったく異なるホンダの挑戦が始まる。
16日、ホンダが記者会見を開き、2015年からF1世界選手権にマクラーレンとジョイントし、『パワーユニット』を供給すると発表した。エンジンの供給ではなく、パワーユニットの供給だ。これを理解するためには、2014年からのF1規定を理解しておく必要がある。
今回のF1復帰発表で、ホンダの伊東孝紳社長は「エンジンを中心とした、パワーユニットサプライヤーとしてマクラーレンとのジョイントプロジェクトのもと、2015年から参戦する」と宣言した。一般紙等の今回の復帰報道には『ホンダが2015年からエンジン供給』という書き方もあるが、間違いではないが的確ではないかもしれない。
■2014年から、F1は大きく変わる
これまでF1エンジンは、1988年にターボエンジンが禁止されて以降自然吸気エンジンのみとなり、その後さまざまな変遷を遂げ、2006年には自然吸気2.4リッターV8エンジンに移行。Vバンクや重心高などが定められ、各メーカーの個性はなくなり、さらに費用高騰にともない開発も凍結され、マシンを構成する「パーツのひとつ」となっていった。
しかし、2014年からF1の規定は大きく変わる。バンク角90度の1.6リッター直噴V6ターボエンジンに、ふたつのエネルギー回生システムが組み合わされる。これまでも使われてきた運動エネルギー回生システム(KERS)と同様のMGU-K(モーター・ジェネレーター・ユニット-キネティック)、熱エネルギー回生システムであるMGU-H(モーター・ジェネレーター・ユニット-ヒート)というふたつの回生システムを組み合わせたものが『パワーユニット』と総称され、このパワーユニットによってF1マシンは推進されるのだ。
この『パワーユニット』こそ、ホンダがマクラーレンに供給するものだ。つまりエンジン単体ではなく、エンジン、MGU-K、MGU-H、ES(エナジーストア=バッテリー)、それぞれから発生するパワーをドライバーの意に沿うようにコントロールするパワーユニットコントローラー等すべて含めたものが、2015年からマクラーレンのシャシーに搭載される。
変わるのはエンジンの形式だけではない。2014年からのF1新規定は、非常にシビアな要求がされている。過去にそのサウンドは“ホンダミュージック”と謳われ、強大なパワーで多くの勝利を獲得してきた第2期ホンダF1の頃とは、完全に求められるものが違う。それは、燃料についてふたつの制限がかかっていることだ。
autosport.com
■驚異的な熱効率が求められるエンジン
これはエネルギー効率の向上を目指し、無償の空気よりも有償のガソリンを制限しようという考え方に基づく。まず、ターボのブースト圧に制限はないが、燃料の瞬間最大流量に100kg/hの制限がかかっている。ブースト圧をいくら上げても燃料流量が決まっているので意味がない。さらに、燃料タンクの容量は100kgに制限される。ちなみに、2012年では1レースを走りきるのにおよそ155〜160kgの容量が必要とされた。これは現在と同じ距離を35%少ない燃料で、ほぼ同じラップタイムで走ることが要求されるということだ。
Renault
パワーユニット自体のパワーとしては、V6ターボエンジン自体で600馬力、ふたつの電気モーターから来るパワーで161馬力が発生される。現在のV8エンジンとほぼ同等の数値で、電気モーターによる回生があるとは言え、14年からの直噴V6ターボには驚異的に高い熱効率が求められる。ルノースポールによれば、14年からのF1エンジンは、市販車に搭載される非常に優れたディーゼルエンジンと同等の燃料効率を実現する。
“性能=燃費”。14年からのF1は、限られた燃料を効率良く使うことができたパワーユニットを開発したメーカーが勝つ。もし燃費が達成できない場合は、完走すらままならない。特に、MGU-Hには制限がなく、ここで大きな電気エネルギーを取り出すことができれば、ライバルに対し優位に立つこともできる。
■第2期、第3期とは異なる挑戦
これまでの概念を大きく上回る燃料効率、そして回生システム。ホンダもプレスリリース内で「これらの技術への挑戦は、内燃機関のさらなる効率化や、ハイブリッドシステムなど、先進のエネルギーマネジメント技術を常に追求してきたホンダにとって、将来技術の開発や技術者の育成などにおいて大きな意義があると捉えた」とこの14年F1規定の導入が、F1復帰のきっかけになったとしている。
「F1の新たな技術の方向性と、ホンダの目指す方向性が合致していた」と会見で伊東社長も語った。これらの技術は、これからの市販車に求められるものとも合致する。
「レースに勝利することこそがホンダ。ホンダのスローガン『The Power of Dreams』を実現するために、かつての盟友であるマクラーレンとともに世界に挑戦し、一日も早くF1で勝利を挙げたい」と語った伊東社長。パワーを求めた第2期、トータルパッケージを求めた第3期とはまったく異なるホンダの挑戦が始まる。
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9/20(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
9/21(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
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※シンガポールGP終了時点
1位 | マックス・フェルスタッペン | 331 |
2位 | ランド・ノリス | 279 |
3位 | シャルル・ルクレール | 245 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 237 |
5位 | カルロス・サインツ | 190 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 174 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 155 |
8位 | セルジオ・ペレス | 144 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 62 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 24 |
※シンガポールGP終了時点
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 516 |
2位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 475 |
3位 | スクーデリア・フェラーリ | 441 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 329 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 34 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 31 |
8位 | ウイリアムズ・レーシング | 16 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 13 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
2024年F1カレンダー
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