マクラーレン・メルセデスの代表、ロン・デニスは、F1のコスト削減案が同意に至った事により、F1の持つ特徴が損なわれる事はないと主張している。
同じスペックのエンジンを使用し、車両のデザインも大きく制限されている他の多くの“ワンメイクシリーズ”同様の道をF1もたどるのではないかという杞憂を、デニスの言葉は和らげるものとなるだろう。
先週行なわれたFIAとFOTAとの間でのミーティングにおいて、それぞれのチーム運営におけるコストを劇的に削減する案が同意に至った。だがデニスは、コストは削減されるものの、ファンがレースを見る際に、それぞれのチームの違いがわからなくなるというような心配は無いと指摘している。
「我々は、実用本位で活動していく事になるが、だからといってF1の持つ基本構造やDNAまで失うようなものではない」デニスはそうUSAトゥデイ紙に語っている。
「多くのファンを落胆させるような対策を採ることは決してない」
世界に蔓延する金融危機の影響によって、大幅なスポンサー収入の減額が予想されるが、デニスは、巨大チームであるマクラーレンでさえ、今まで通りの活動を継続する事は不可能だろうと語っている。そして実際に、彼らのライバルであるホンダは、その影響で撤退を余儀無くされている。
さらに、これまでマールボロ、ウエスト、ボーダフォンといった国際的に著名なブランドを持つ企業と渡り合ってきたデニスは、来シーズンにマクラーレンは、そのコストを30パーセント減額、2010年にはさらに20パーセント減らす事になるだろうと予想している。
「我々が第一義に考える事はスポーツとしての側面だが、ビジネス面もそれと同じくらい重要な事だ」デニスは、チームのテクニカルパートナーであるエクソンモービルを訪ねた際に、そう語っている。
「収入が支出を大きく超えてしまえば、我々は存続できない」
F1の世界戦略は、その将来を安定化させる上で必要な事であり、それを目的としてデニスはアメリカを訪れている。彼は「個人的な考え」としながら、アメリカがF1に戻ってくるのはそう遠い事ではないだろうと語っている。
2008年にはアメリカGPが開催されず、また2009年のカレンダーからはこれまで毎年行なわれていたカナダGPも姿を消す。だがデニスは、アメリカでの開催が、3年以内にカレンダーに復活するだろうと考えている。
「アメリカ進出の鍵となるのは、アメリカでのモータースポーツの受け入れられ方を理解する事だ。だからこそ我々はテレビでの放映権を手にしていなければならない。北米は巨大な市場である。我々は、アメリカで受け入れられるようなモデルを見出そうと懸命に模索しているところだ」