セバスチャン・ベッテルは、2009年仕様のF1マシンの見た目がどのように変わろうが、チーム内で何語を話すことになろうが、そういったことは全く意に介しておらず、気にかけているのは、ドライビングとそしてその結果だけだと主張している。
来季のレッドブル・レーシングのマシン、RB5の開発は、この若きドイツ人ドライバーの両肩に大きくかかっている。というのも、チームメイトであるマーク・ウエーバーは、先月行われた彼の名を冠したイベント、ピュア・タスマニア・チャレンジでのアクシデントで、足を骨折してしまったため、当分、現場には復帰できないからである。
これは若い彼にはかなりな負担となるはずであるが、今年9月にモンツァで行われたイタリアGPでF1史上最年少ウイナーとなり、レッドブルの“ジュニア”チーム、スクーデリア・トロロッソに初勝利をもたらしたベッテルは、むしろこのチャレンジを楽しんでいるかのようだ。
「僕はテストは大好きなんだ」とホッペンハイム出身のベッテルは語る。
「頑張って慣れなきゃね。もっとも(シーズン中のテスト廃止が新たに発表された)今は、レース自体がいままでよりもかなり大事になってきたけど」
「いつマークが乗れるようになるのかはっきりとは分かっていないんだ。ケガというのはいろいろだからね。早く治るときもあれば、長くかかる場合もある。だから今は、ただ待つしかない。今の時点では、それに関して何かを語るには時期尚早だ」
「ただ、来年早々の時点で、彼が戻ってこられなければ、当然僕が彼の仕事も担当することになるだろう。いずれにしても、シーズン前には、1台の車でテストを全てこなすことになるから、セカンドカーに誰が乗るんだろうなんて誰も思わない」
もちろん、作業にはファクトリーにおける準備も伴ってくる。21歳のベッテルは、これまでと違う言語に適応しなければならなかったと冗談を交えて話す。
「もちろん僕は、イタリア語から英語にスイッチしなきゃいけなかったよ」そうベッテルは説明している。
「でも、それはたいした問題じゃない。これまでだって別のイギリスのチームで仕事をしたことはあるし、いつだって楽しくやってきた」
「もちろん、少しばかり難しさはあるけど、一番大きな違いは、チームはそれぞれ違ったやり方で仕事をするってことだ。もちろんどっちが良くってどっちが悪い、という問題じゃない。それはひたすら慣れるしかないよ。だってそこが今いる場所なんだからね。来年に向けてチームに慣れるよう、この冬を過ごしたいと思う」
「チームはどこも、それぞれのフィロソフィーを持っている。それに従わなくてはいけないし、“OK、今僕はこんな風にやりたいんだ”なんて言うことはできない。幸い僕はとてもオープンな人間だし、今必要なのは学ぶことだと分かっている。僕が唯一、気にかけなければいけないのは結果だ。だから改善しなければならないことを見つけたら、すぐに行動に移すよ」
「もちろんやるべき事はたくさんある。ファクトリーでも多くのスタッフが、来季に大きく躍進しようと改良に懸命だ。でも今の時点では、どこが来季、強くなるのかまったく分からないね」
「またトップに来るのが確実なのは2つか3つのチームであり、僕らとしてはできるだけ彼らに近づいて、彼らと戦えるように頑張るしかない。それができたら、来年はどうなるのか、様子を見てみよう。まだまだ先は長いよ」