2008年F1世界選手権第3戦バーレーンGPをおよそ10日後に控えて、FIAが予選ルールの変更を迫るプレッシャーに直面している。マレーシアGPの予選で起きた“危険な”出来事がその発端だ。
マクラーレンのルイス・ハミルトンとヘイキ・コバライネンは、セパンのQ3でフライングラップに入っていたニック・ハイドフェルドの走路を妨害したと判定され、5グリッド降格の処分を受けた。この時、2台のマクラーレンは予選アタック中のBMWザウバーと比べて極端に遅い速度で走行しており、こうした状況を変えるために何らかの手を打たなければ、いずれ大きなアクシデントにつながりかねないとの不安を呼んだ。
「これはQ3(予選の最終セッション)が短くなった今年のルールが原因だと思う。そのせいでドライバーによってタイム計測ラップを終えるタイミングがずれて、コース上でのポジションもバラバラになっている」と、元ワールドチャンピオンのフェルナンド・アロンソは、ロイター通信社に対して述べた。マレーシアでは、彼もハイドフェルドと同様に最後のフライングラップのタイミングが他のドライバーよりも遅かった。
「彼ら(マクラーレンの両ドライバー)は僕らよりも少し早めに計測ラップを終えていた。だけど、僕にとってあれは間違いなく最悪の状況だったよ。こっちは時速300キロで走っているのに、彼らは60キロそこそこで走っていたんだ。速度差があまりにも大きすぎて、ちょっと危険な状況だった」
ハミルトンとコバライネンが(他の多くのドライバーと同様に)予選セッション終了後に極端に速度を落として走っていたのは、なるべく燃料を消費せずにピットへ戻って来るためだった。今年から予選のルールが変わり、最後の第3セッションに出走した10人のドライバーは、予選終了から翌日のレースのスタートまで燃料の補給を許されない。
しかし、この新フォーマットのため、最後のフライングラップを終えたドライバーたちはインラップをできるだけ低速で走ろうとするようになり、その何倍もの速度で全開のタイムアタックを行うドライバーと交錯することから、安全上の不安が持ち上がっていた。
ハイドフェルドのチームメイトで、マレーシアGPをフェラーリのキミ・ライコネンに次ぐ2位でフィニッシュしたロバート・クビカは、ひとつの解決方法として予選後にピットに戻る車両のラップタイムに制限を設けることを提案している。こうした制限は、すでにスターティンググリッドに向かう際のラップに適用されている。
「グリッドに向かう時のラップには時間制限がある」とクビカは言う。
「同じルールを予選にも適用した方がいいんじゃないかな」
また、BMWのモータースポーツディレクター、マリオ・タイセンの意見も同じだ。
「私はこの状況に潜在的に含まれている危険が気に入らない。速度差があまりにも大きすぎる。これは緊急な解決を要する問題であり、できることならバーレーンでの次のレースまでに解決されるべきだ」