ミシュランが来季末でF1から撤退することを正式に発表した。これにより、F1はワンメイクタイヤへの道を歩み始めたということになるだろう。
これまでもF1でのタイヤの役割に対する制約がますます厳しくなることに懸念を表明していたミシュランは、もはやF1で活動を続ける理由が存在しないとの判断に至った。また、最近公表された将来のレギュレーション案にも示されているように、F1がタイヤのワンメイク化へ向かおうとしていることもあって、締め出されるのを待つよりも自ら撤退を発表する形を選んだとも言える。
同社の声明によれば、「ミシュランは、F1が高度にテクニカルなモータースポーツであり、そこではタイヤが車両のパフォーマンスにおいてきわめて影響の大きいコンポーネントであると考えている。そこではチーム側のタイヤ選択の自由が不可欠な要素だ。したがって、少なくとも2つのタイヤメーカーによる競争が必要になる。なぜなら、それによってタイヤサプライヤーの間での本当の競争が可能になり、結果として一般の顧客のためにもなる技術的進歩が促進されるからだ」
ミシュランはこの決定を下す前に、現在のパートナーであるマクラーレン、BMWザウバー、ルノー、ホンダ、そして昨シーズンまでの顧客、サー・フランク・ウイリアムズの意見も聞いたという。しかし、F1のタイヤレギュレーションが将来の形に向けて動き出し、しかもルールブックの変更が‘予告もなく’頻繁に行われるような現状では、先を見通した計画作りは‘まったく不可能’であり、そのためにF1への長期的な関与に‘もはやこれまでのようなメリットを見出せない’と主張している。
「この決定は、ミシュランの長年にわたるモータースポーツ哲学とF1の統括団体による運営方法との間に生じた深い溝がもたらした結果であり、もはやF1には長期的な投資を正当化できるだけの明瞭で安定した環境が存在しない」と、エドゥアルド・ミシュランはコメントした。
「ミシュランにとって、F1を去ることはモータースポーツ活動からの撤退を意味するものではない。ミシュランブランドは117年間にわたってモータースポーツにかかわりあってきたのだから。もしも今後F1の運営方法が大きく変化すれば、ミシュランは再び各チームへのサービスを提案することを躊躇しないだろう」
ミシュランが2006年いっぱいで撤退することにより、2007年からのタイヤのワンメイク化はほぼ確実になったとも言えるが、ミシュランはそれがどのような結果をもたらすか、関心を持って見守ると述べている。理論的にはワンメイク化が実現すれば大規模なタイヤ開発は行われなくなり、チームもわずかなアドバンテージのために大金を投じてテストを実施する必要がなくなるはずだ。
14日のミシュランの発表は、FIAがテクニカルパートナーに求めている告知期間の条件を満たすために行われたもの。これによって現在のミシュランユーザーチームは、その後の準備のために十分な時間を与えられたことになるが、いずれにしても2006年以降もミシュランタイヤを使用する意向を表明していたチームは、現時点ではひとつもなかった。
「私たちとしては、できることなら長期的なF1への関与を続けたかった。なぜなら、F1の高い要求水準とパートナーチームとの協力は、進歩と実り多い情報交換の豊かな源泉だったからだ」とエドゥアルド・ミシュランは述べた。「だが、ミシュランはそのパートナーチームに2006年シーズンも最良のサービスと最良のタイヤを提供し、彼らの勝利に貢献するためにできることはなんでもするつもりでいる。それは2001年に私たちがF1に復帰したときから一貫して変わらない姿勢だ」