来季からのF1参入を目指すスーパー・アグリF1チームが、4年落ちのアロウズ製シャシーを使って2006年シーズンに挑む可能性が出てきた。
ロイター通信社の報道によると、チームの中心人物である鈴木亜久里は、元ミナルディのボス、ポール・ストッダートと交渉を進めているという。ストッダートは2003年に5台のアロウズ・シャシーを購入している。
「彼らと交渉をしている。彼らに与えられた時間枠を考えれば、これが現実的に考えられる唯一の方法だ」とストッダート。「アロウズのクルマを走らせるというのは、きわめて実現性の高い解決方法であり、クルマは間違いなく(来季開幕戦の)バーレーンまでに走れるようになるだろう。これ以外の方法は、コンコルド協定に抵触するか、そうでなければ実現がきわめて困難だ」
コンコルド協定の下では、各チームはそれぞれが独自のマシンでレースに参加しなければならない。鈴木亜久里のチームは昨年のBAR製シャシーを使用するとウワサされているが、実際には他の全チームの同意がなければ、彼らがBAR製のマシンを走らせることはできないのだ。
したがって、アロウズのクルマを走らせるというアイデアは、他チームの同意が得られなかった場合に備えての手堅い‘Bプラン’になるかもしれない。現在アロウズのシャシーの知的財産権はストッダートが所有しており、彼はすでにミナルディのオーナーではなくなっている。
「私たちは02年型のマシンを05年のイモラまで使った」とストッダート。「その間、それほど多くのモディファイはしていない。もしスーパー・アグリがホンダのV10を手に入れられれば、この(アロウズ製)シャシーの短所を補えるかもしれないし、これで1年間戦いながら独自のマシンを設計する時間を稼げる。ホンダV10をこのシャシーに搭載することは十分に可能だ。あくまでも暫定的なマシンになるだろうが、V10を使えば彼らは確実に参戦できるはずだ」
スーパー・アグリF1チームがアロウズのシャシーを使うというアイデアは、奇策というよりむしろ当然の帰結かもしれない。彼らはイギリスのリーフィールドにある旧アロウズファクトリーを買い取り、すでに引越しも終えているからだ。