出身国が同じで言語も共通ではあるが、クリスチャン・アルバースとロバート・ドーンボスは、ミナルディのチーム内において、親友というにはかなり程遠い存在であったようだ。アルバースは、ドーンボスは全くチームに貢献しなかったと非難したのだ。
資金供与ができなくなったパトリック・フリーザッハーに代わって、ドイツGP以降チームに合流したドーンボスは、批評家受けは非常に良く、特にオランダにおいては絶賛されていた。だがアルバースは、SpeedTV.comのインタビューに応えて、同郷人であるドーンボスを手厳しく批判した。
「ドーンボスは、まるですごい才能があるかのようにオランダのプレスは書いているけれど、過大評価もいいところだ。だったら彼に勝ち続けた僕はどうなるんだろう、スーパーマンかな?」アルバースは苛立ちを隠さない。
とはいえアルバースは、サーキット上のドーンボスを“悪いドライバーではない”と評する。ミナルディはジョーダンをしのごうと懸命に努めていたが、ドーンボスはPS05の開発に全く貢献しなかったというのが、アルバースの最大の不満である。折しも、ジョーダンが改良型のマシンを投入したことが主な要因ではあるが、シーズン末までにはジョーダンの方がミナルディを上回るパフォーマンスを見せるようになっていた。
「チームのためにドライブするということの中で、もっとも重要な部分はクルマの改良を行うことであり、その点で彼は全く仕事をしていない。事実、彼はミナルディに入って以来、たった一つの改良点も施していないんだ」とアルバースは続ける。「F1はクルマの改良がすべてだ。GPの週末ごとに、どれだけレースを楽しんだかを言ってまわるのが仕事じゃない」
「彼は、チームが前に進もうとすることに全く手を貸さない。パトリックは一生懸命やってくれたので、マシンが向上していったけれど、ドーンボスが入ってからは全く開発は先に進まず、結果クルマは速くなくなってしまった」
ミナルディがF1から姿を消すことになったことで、アルバースがこういった発言をするに至ったものと思われる。チームは、スクアドラ・トロ・ロッソと名称を変え、来シーズンのクルマに乗るのはビタントニオ・リウッツィとスコット・スピードと考えられており、アルバースとドーンボスの両名ともこのチームに残ることはない。
また、どちらのドライバーも、オランダの地元企業からの多額スポンサーマネーを得たとしても、どこかのチームでシートを確保することは難しそうだ。
アルバースは、ウイリアムズでテストドライバーとして交渉中、ドーンボスはレースドライバーの座を狙ってミッドランドF1と交渉中であると言われる。