上海インターナショナル・サーキットをデザインしたヘルマン・ティルケは、中国GPでマクラーレンのファン−パブロ・モントーヤをリタイアに追い込んだ排水溝のフタは、レース前にきちんと固定されていなかったのだと考えている。マクラーレンチームは、このアクシデントにより、コンストラクターズ選手権争いに敗れる結果となった。
モントーヤは、ジャンカルロ・フィジケラと同僚のキミ・ライコネンのすぐ後ろを走行しており、縁石を通過する際、部分的に排水溝のフタが開いてしまっているのが見えず、ヒットしてしまった。それによってフタも壊れたが、MP4−20の方が、より深刻なダメージを受けることになった。タイヤの損傷で余分なピットインを強いられただけでなく、マシンのフロアに穴が開き、その過程でラジエターとサスペンションが損傷したのだ。モントーヤがコースに復帰した時、マクラーレンのハンドリングが良好でなかったのも確かだが、最終的にリタイアする原因となったのはラジエターの損傷で、メルセデスエンジンが音を上げ始めたためだった。
排水溝の設置は、どこのサーキットでも避けることのできない“必要悪”だ。水たまりができることは、ドライバーたちに、さらに大きな危険をもたらすからだ。しかし、上海サーキットの排水溝のフタが問題となったのは、今回のモントーヤの事故が初めてではない。V8スーパーカーのドライバーも、シリーズの中国初遠征において、恐ろしい事故に遭っている。同じようにはずれたフタのせいで、オルコン・フォード・ファルコンの車体下に穴が開いてしまったのだ。
ティルケはイギリスITVの放送で語った。「排水溝のフタがロックされていなかったのだ。もちろん、圧力がかかるので、タイヤが踏んで外れてしまうこともあるが、あれは不運だね。あのフタは正しく固定されていなかったのだ」