裁判所の判決によりBARホンダ・チームのサンマリノGPの結果が除外されたが、FIAはさらなる手段を講じる可能性があることを示唆した。
控訴裁判所はBARのサンマリノGPにおける3位、5位の剥奪、さらにスペインGP、モナコGP2戦の出場停止という判決を下したが、FIAはそれだけでは気が済まなかったようだ。FIAは現在、BARに対し、レギュレーション違反である燃料システムを用いたことによりF1の評判に傷をつけたという罪状を問えるかどうか、調査中であるという。
F1に携わる5つのエンジン・マニュファクチャラー ――BARのエンジンパートナーであるホンダを含む―― からの声明に応える形で、FIAも声明を発表した。その声明には、次のような最新の調査に関する文面が含まれている。
「BARホンダの経営管理側の申し立てについて、チーム側の社会的責任を踏まえて、現在も調査中である。つまり、“F1のイメージと威厳を損なう”、もしくは、“あらゆる競技への利益、またはモータースポーツ全般にわたる利益を損なう”といった行為に該当するかという点である」
5つのマニュファクチャラーは、シリーズにおける利益を代表するため、また、F1シリーズからの離脱案を次の段階へと移すため、新たな連合の設立を発表した。しかし声明では、来シーズン以降の3シーズンでFIAが提案したV8エンジンの使用に同意すると述べる一方で、“ここ1週間の騒動”についても触れられており、FIA側はこの部分に最も大きな反応を示したようだ。
今回の裁定が公正ではないとする5社の主張に反発したFIAは、各チームとマニュファクチャラーはF1に参戦する際にルールを遵守しなくてはならなかったことを認識していたはずだと指摘し、さらにFIA自体がルールブックであり、自分たちのやり方でF1を取り締まっていくと述べた。
「FIAはF1ルールの取り締まりを厳格に強化していく。また、競技者のFIA控訴裁判所の利用は、引き続き許可する。この控訴裁判所の地位と主体性は、再三再四、民事裁判所が承認したものであり、ごく最近では(05年3月)、パリの大審裁判所によって承認されている」
「どんなに大企業であろうとも、いかなるマニュファクチャラーであっても、隠れて、もしくは不正に有利に立つことは許されない。このことを受諾できない、受諾する意思のないものは、F1界のどこにも居場所はない。さらに、ルール違反が発覚した際にFIAの信頼性に対して攻撃的な態度を取った競技者は、どんなスポーツにおいても一層の制裁を科されうるということを、彼らは理解すべきである」
「マニュファクチャラーは、それぞれの理由があってF1に参戦したと思われる。彼らは招かれたのではなく、彼ら自身で参戦を決めたのだ。彼らはこれまでも様々な状況下において、各自がF1のルールと組織構造を受け入れている」
現時点ではFIAが今後BARを告発するかどうかは不明だが、仮にそうなれば、BARはさらなる制裁を受ける可能性がある。FIAは当初、BARを今シーズンの世界選手権から除外した上で、重い罰金をも負わせることを要求していたが、控訴裁判所が減刑を言い渡したという経緯がある。