メキシコに計画中の新しいF1施設の建設を巡って、地元関係者の間で論争が起こっており、着工に遅れが出ている。
メキシコのメディアによれば、東海岸のカンクーンにある新しいF1サーキットの建設を巡り、政府と地元有力者と地主との間で意見がまとまらず、2006年からのメキシコGP開催に支障をきたしそうな事態が続いている。8000万ドルをかけたヘルマン・ティルケの設計によるマンタラヤ・サーキットの建設は1月に始まる予定だったが、混乱が収まらず、このままでは2006年10月のGP開催は実現できないかもしれない。
組織委員で元F1レーサーのへクター・レバークは、エル・ユニバーサル紙に対し、次のように語った。「残念ながら、すべての予定が遅れている。いまの予定地なら、プロジェクトがすんなり進み、メキシコに多大な利益をもたらせてくれると期待していた。しかし、いくつかの問題がいまだ解決されず、着工に遅れが出ている」
ユカタン半島にある広さ700ヘクタールの建設予定地は、これまで多くの個人企業の出資で再開発が進められてきた。土地は地元有力者たちから譲ってもらったものだが、それがもとで論争が勃発し、着工に遅れをきたしている。最悪の事態も予想される中、レバークは新しい建設予定地を探すかもしれないという考えまで明らかにした。
「土地と建設を巡る論争が起こっている。2006年の10月にレースを行うことが決まっているので、問題を早急に解決しなければならない。地元の開発グループがすぐに結論を出すことを期待しているが、いまのところ、サーキットを別の場所に作るという考えもある。計画変更の可能性も十分ある」
レース準備委員たちは、14年ぶりとなるメキシコでのイベントをバーニー・エクレストンと5年契約で結び、新開催地でのグランプリ開催を決めていた。以前メキシコGPは、メキシコシティのアウトドローモ・ヘルマノス・ロドリゲスで行われていた。同サーキットは近年チャンプカー・ワールドシリーズをホストしており、2005年はグランダムとNASCARブッシュシリーズも開催される予定だ。