F1と500cc(MotoGP)の両方で唯一世界タイトルを獲得したジョン・サーティースが、バレンティーノ・ロッシなら彼と同様、2輪と4輪の両方で世界チャンピオンになるだろうと語った。
シルバーストン再開発計画の第1幕として建てられた新しいイノベーションセンターの開館式で、サーティースは英クラッシュネットの単独インタビューに応じ、ロッシは2輪の世界でやりかけたことを全て達成した上でF1へ転向することが重要だと語った。
オートバイレースで7度の世界タイトルとF1でも1964年に世界タイトルを獲得したサーティースは次のように述べた。「彼にとって一番大事なことは、モーターサイクルの世界でいまの野望をすべて達成することだ。その後、来たるべきときになったらF1へ転向すればいい。F1への転向を考えているのなら、伸び盛りのときに転向しなければならない。他の多くのドライバーのように、ピークを少し過ぎたあたりまで待ってはならない」
「私は、26歳を迎える直前、まだ昇り調子のときに転向した。モーターサイクルの世界でもあと10年はやれただろうが、そのときに転向したことが私にとってとてもよかった。バレンティーノにとっても、伸び盛りに転向することはとても重要だろう」
サーティースはまた、ロッシが本当にF1に転向するつもりなら、F1マシンのドライブにおいて、まずはスピードを証明する必要があると述べた。
「私が初めてF1マシンに乗ったとき、スターリング・モスや他の大勢のトップドライバーたちがドライブしてきたのと同じマシンに乗った。そして、彼らと同じぐらいのスピードを出すことができた。バレンティーノがF1シートを獲得するには、まずはスピードを証明することが重要だ。F1マシンの安全性はすぐに理解できるだろうし、経験は徐々に積めるのでいい。最初にやっておくべきことは、実際にスピードに乗れるかどうか確めることだ。F1マシンのスピードについていけるかどうかは、やってみなくてはわからないからね」
今季ヤマハチームに移ったロッシは、4年連続6度目のモトGP世界タイトルを手にする以前から、4輪へのスイッチが囁かれ、フィオラノでフェラーリのF1マシンをテストしたこともある。
いまのところロッシは来季もMotoGPに参戦し続けていくようだが、彼が将来的にフェラーリ入りし、オールイタリアンの体制のもと、サーティース同様、2輪と4輪でのWタイトルを目指す可能性は大いにあることだろう。
サーティースは、テクノロジーの発達のおかげで、ロッシが2輪から4輪にスイッチしやすくなっていると考えている。
「(1950、60年代に比べて)いまは2輪から4輪へのスイッチがしやすくなっていると思う」とサーティース。「ひとつには、とても大きなタイヤがついたハイパワーエンジンのバイクのドライブと4輪のドライブはよく似ているからだ。また、私が4輪に転向した頃は、基本的に自分の肌感覚や指先の感覚から全てのフィードバック作業を自分で行わなければならなかったが、いまはテレメーターがあるからね」
「テレメーターのおかげで自分がどこでミスをしたのか走りながらでもすぐにわかるし、いつでも無線でピットとコミュニケーションができる。あらゆる近代テクノロジーのおかげで、私の時代では大変だった学習プログラムが、いまでは短期間で修了できる」
サーティースは、ロッシの腕がこうしたテクノロジーの進歩と合わされば、彼に続いてバイクとF1の両方で世界タイトルを手にすることは可能だと考えている。
「この時代にWタイトルが獲れそうな人間といったら、バレンティーノしかいない。彼は本物のレーサーだからね」