シルバーストンがF1カレンダーに復帰したのは、束の間の夢だったのかもしれない。F1の首領バーニー・エクレストンが、12月に発表される最終的なカレンダーにイギリスGPが含まれる可能性は低いと語ったからだ。「契約期間や金銭的な問題について、私たちは合意に至ることができなかった。したがって、交渉が不調に終わったことを認めざるを得ない」とエクレストン。「誰にもこれ以上のことはできないだろう。BRDCはすべて自分たちのやり方で進めたいと望んでいるが、ビジネスの世界ではそういう考え方は通用しない。2005年にイギリスGPが開かれないことはもはや確実になったようだ」
さらにエクレストンは、すでに彼がBRDCに対して他のグランプリよりも大幅に譲歩していると述べ、それでなくとも過密なスケジュールに新たな開催候補地が次々と名乗りを上げていることを考えると、彼が“紳士のいない紳士クラブ”と酷評したBRDCとの交渉にはこれ以上時間を費やせないと感じているらしい。「21世紀のF1にふさわしい最新鋭のサーキットを建設するために数億ドルを投資し、BRDCとの交渉で私たちが受け入れた額よりもはるかに多い保証金も用意した上で、レース開催を望んで私のドアを叩いている国もある。それは7年契約で、さらに私たちの側に5年間の延長オプションがある」「このオファーを断って、BRDCと大幅なディスカウントをした2年契約をするのは、ビジネスとして賢明な判断とは言えない。もしもその2年の間にBRDCが(契約延長の)オプションを行使しないと決めた場合、F1は魅力的な新しい開催地でレースを行うチャンスを棒に振ったことになるだろう」
シルバーストンは、先週世界モータースポーツ評議会が発表した暫定F1スケジュールで7月3日の開催日を割り当てられ、どうやらレースは例年どおり開催されるものと考えられていた。最終的なカレンダーの発表は12月10日に予定されているが、イベント数をコンコルド協定で合意された全17戦にするために必要な2つの“犠牲”のひとつがシルバーストンになるのはいまや確実とも言えそうだ。